翻訳用語解説

A

Adobe Acrobat
アドビシステムズのソフトウェアの名称である。PDF ファイルを作成・編集することができる。

Adobe Acrobat Reader
Acrobat の無料版でPDF ファイルの閲覧用ソフトウェアであるが、コメントも入れられるため、翻訳では校正指示などに使うこともある。

American Translators Association (略称ATA)
ATAは全米最大のプロ翻訳者及び通訳者の団体である。

B

BOM
BOMとは、「Byte Order Mark」の略でUnicodeの符号化形式で符号化したテキストの先頭につける数バイトのデータのこと。このデータを元に Unicode で符号化形式(エンコーディング)として、どれを使用しているか(UTF-8、UTF-16、UTF-32など)を判別できるようにしたもの。

C

CATツール
CATツール とはComputer Assisted Translationの略で、「キャットツール」と読み、翻訳支援ツールのことである。
翻訳ソフトとは異なり、CATツールは人間が翻訳を行う際使用するソフトウェアで、自動的に翻訳を行うものではない。以前と同じセンテンスや用語が出てきた場合に容易に統一を図ることができ、翻訳の品質と生産性を向上させることができる。代表的な CAT ツールは SDL Trados、Wordfast、OmegaT など。

CCJK
CCJKとは、アジア市場の四大言語のことで、中国語簡体字(Simplified Chinese)、中国語繁体字(Traditional Chinese)、日本語(Japanese)、韓国語(Korean)の頭文字をとったものである。

CCPA
CCPAはCalifornia Consumer Privacy Actの略で2020年1月1日施行されたカリフォルニア州消費者プライバシー法のことである。これにより、カリフォルニア州民の権利として、事業者に、事業者が収集する個人情報のカテゴリーや特定の情報についての開示を要求する権利、個人情報が共有される第三者についての開示を要求する権利、および事業者が収集した個人情報の削除を要求する権利などが認められるようになり、事業者の対応が求められるようになった。

CMS
CMSとは「Content Management System」の略で、ウェブコンテンツを構成するテキストや画像などのデジタルコンテンツを統合・体系的に管理する。知識がなくても容易にウェブページの作成・更新ができるサービス。身近なところでは、WordPressなど。

Context Match
⇒ 「完全一致」の項を参照。

D

DTP
DTPとはDesktop Publishingの略で、専用のソフトを使って画面上で印刷物のレイアウトを編集し、印刷物として出力するためのデータを作成する業務のことをいう。

E

EPS
EPSとは、Adobe社のPhotoshopの画像保存形式で、DTP業界ではもっとも一般的な画像のファイル形式として使用されている。

F

FIGS
FIGSとは、欧州市場の主要四言語のことを指す。フランス語(French)、イタリア語(Italian)、ドイツ語(German)、スペイン語(Spanish)の頭文字。

G

Globalization and Localization Association(略称GALA)
GALA(Globalization and Localization Association)は翻訳、ローカリゼーション、言語サービス産業の発展を目的として欧州発のグローバルに活動する非営利団体。2019年8月よりJTFと業務提携している。

GDPR
GDPRは、General Data Protection Regulation の略で2018 年 5 月から施行されたEU 一般データ保護規則のことである。欧州連合(EU)内の全ての個人のためのデータ保護の規則で、日本企業も、EU に拠点がある、商品やサービス提供の取引がある、個人データの処理について委託を受けている、上記のいずれかであれば対象となる。EU 圏居住者、旅行者の Web 上の行動データを使用する場合も対象。

GILT
Globalization(グローバリゼーション)、Internationalization(インターナショナリゼーション)、Localization(ローカリゼーション)、Translation(トランスレーション)の頭文字を取ったもの。グローバル製品を市場に届けるまでに必要な工程の略称。

grep
grepとは、Unixなどのオペレーティングシステム(OS)のコマンドで、Global regular expression and printの略である。指定した文字が含まれている文字列を複数ファイルから検索する。
現在では多くのテキストエディタに搭載されている機能で、グローバル検索機能とも呼ばれる。結果リストから、ファイルを開き検索文字の位置にジャンプできる。

H

I

I18N
I18NとはInternationalization(インターナショナリゼーション)の略語。国際化。

ICE Match
⇒ 「完全一致」の項を参照。

ISO17100
ISO17100とは、翻訳サービスの品質及び引渡しに直接影響を及ぼす翻訳プロセスの要求事項を規定した国際規格である。(日本規格協会)

IT翻訳
IT翻訳とは、一般的に情報通信関連分野の翻訳とされ、具体的には、コンピューター(ハード、ソフト)、通信、ネットワーク、電子機器分野の翻訳のことを指す。

J

JTF<ほんやく検定>
JTFが主催する産業翻訳の翻訳力検定試験。

K

L

L10N
L10NとはLocalization(ローカリゼーション)の略語。現地化。

LSP
LSPとは、Language Service Providerの略で、翻訳や通訳など言語に関するサービスに従事する組織や人のことである。
英語で翻訳会社は「Translation Vender」や「Language Vender」と呼ばれたり、日本語でも「ベンダー」ともいう。

M

memoQ
翻訳支援ツールの名称。

Memsource
翻訳支援ツールの名称。

MLV
MLVはMultiple Language Vendorの略で、ワールドワイドに拠点を持ち、一般的に多数のターゲット言語への翻訳が可能な大手のローカリゼーションサービスプロバイダのことを指す。

MT
⇒ 「Machine Translation」の略。「機械翻訳」の項を参照。

MTPE
MTPEとはMachine Translation + Post Editの略で、翻訳会社が提供する機械翻訳とポストエディットのセットのサービスを指す。

MultiTerm
MultiTermはCATツールTRADOS の用語管理システムである。

N

NDA
NDAとは、Non-Disclosure Agreementの略で、機密保持契約のこと。クライアント、外部協力者と契約時に取り交わす。

NMT
NMTはNeural Machine Translationの略で、ニューラルネットワークを使用したディープラーニングによる最新の機械翻訳エンジンの方式。人間が言葉を学ぶように翻訳を学ぶので、翻訳の流暢さが増した。ニューラル翻訳ともいう。

No Match
⇒ 「一致なし」の項を参照。

O

OpenTypeフォント
OpenTypeフォントは、同じフォントファイルをMacintoshとWindowsの両方で利用できる。またダイナミックダウンロードの対応により、プリンターにPostScriptフォントがなくても高品位印刷が可能であること、多言語や特殊文字記号などもカバーしているといった特徴がある。

P

Perfect Match
⇒ 「完全一致」の項を参照。

PM
⇒ 「プロジェクトマネージャー」の項を参照。

Post Edit
⇒ 「ポストエディット(PE)/ポストエディター」の項を参照。

Pre Edit
⇒ 「プリエディット」の項を参照。

Q

QA
QAとはQuality Assuranceの略であり、訳文の品質管理を担う納品前の最終工程である。用語集、スタイルガイド、レポート、翻訳者への指示をまとめ、翻訳そのものの品質に加え、レイアウトやプロセスなどを含め全体の最適化を行う。

R

RBMT(RMT)
RBMT(RMT)は、Rule Based Machine Translationの略で、機械翻訳の1つでルールベース機械翻訳とも言う。登録したルールに基づいて構文を解釈して翻訳する方法。

Repetitions
⇒ 「繰り返し一致」の項を参照。

S

SBMT(SMT)
SBMT(SMT)はStatistical Base Machine Translationの略で、機械翻訳の一種である。
大量の対訳データ(コーパス)を登録し、統計的手法により訳文を生成する方法。統計的機械翻訳ともいう。

SLA
SLAとはService Level Agreementの略で、通信業界などでよく用いられるサービスをどの程度の品質で提供するのかを定めた契約のこと。

SLV
SLVとはSingle Language Vendorの略で、1 つの言語に特化した翻訳ベンダー、または、海外に支店網のない翻訳ベンダーのこと。

Source
翻訳する原文言語やファイルのこと。「原文」「ソース」と同じ。

SOW
SOWとは、Statement of Workの略で、プロジェクトの開始前に締結する作業内容、納品物、仕様などを規定したもの。作業範囲記述書ともいう。

SST
SSTとは、字幕制作ソフトの一種である。

Society for Technical Communication(略称STC)
STC(Society for Technical Communication)とは、北米発のテクニカルコミュニケーションの理論・技術の発展と普及、最新動向についての情報共有を行う業界団体である。

T

Translation Automation User Society(略称TAUS)
TAUS(Translation Automation User Society)は欧州発の翻訳業界団体。設立当初から機械翻訳分野に強みがあり、機械翻訳に関する調査・発表を行い、最近時は翻訳の「品質評価」に力を入れている。

TEP
TEPとは、Translation、Edit、Proofread の頭文字を取ったもので、翻訳、チェック、校正の翻訳工程の一連の流れのことを総称して言う。

TM
TMとは、Translation Memoryの略で、過去の対訳を蓄積するデータベースであり、CATツールを使用しての翻訳で、以前と同じまたは類似の表現が出てきた時に、TM内の訳文を適用することができる。「翻訳メモリ」または「メモリ」ともいう。

TMS
TMSとは、「Translation Management System」の略。翻訳ワークフローの管理、請求支払いなどの経理の機能、データベース、コミュニケーションツールなどの機能を持ち、プロジェクト全体の管理をおこなうシステムの総称。クラウド上のTMSのCA Tツールを用いて翻訳するものもある。

TRADOS
TRADOSとは、翻訳支援ツール(翻訳メモリツール)の一種で、特に IT 分野の翻訳では多く使用されている代表的なCAT ツールである。

Transcreation
⇒ 「トランスクリエーション」の項を参照。

U

UA
UAとは、User Assistantの略で、ユーザーを援助するためのヘルプやマニュアルの総称として使われている。

UI用語
UIとはUser Interfaceの略で、コンピューターとユーザーの間のインターフェイスのことであり、画面表示、ウィンドウ、メニューなどを指す。ローカリゼーションの重要な役割を担っている。

Unicode
代表的な文字コードの業界規格の一つ。ユニコードと同じ。

V

W

Web翻訳
Web翻訳とは、一般的にインターネット上のホームページを翻訳することである。

Weighted Words
Weighted Wordsとは、新規翻訳原稿をCATツールで解析し、マッチ率に応じて係数をかけて、新規翻訳内容のワード数を算出すること。作業負荷を見積もるために実施する。

XML
XMLはExtensible Markup Languageの略であり、ドキュメントの構成要素ひとつひとつに、タグをつけてテキストベースにしたマークアップ言語のことである。製作者が定義した要素をつけることができ、HTMLなどによりタグの自由度が高く、様々な業界で注目されている。翻訳用のソースがXML形式のファイルであることも多くなっている。

X

Y

Z

ア行

あいまい一致、ファジーマッチ
あいまい一致とは、CATツールのTM(翻訳メモリ)を使用して翻訳を行う場合、翻訳対象の原文と、TM内の文章が部分的に一致していること。ファジーマッチとも言う。一致率により、「95% - 99%」「85% - 94%」「75% - 84%」「50% - 74%」の4種類の区分があり、一般的に 75% - 99% 一致しているものを使用する。一致している部分は原則そのまま流用できるため、翻訳効率に貢献する。

アジア太平洋機械翻訳協会
(AAMT:Asia-Pacific Association for Machine Translation)

1991年4月に元京都大学総長の長尾真名誉教授により、「日本機械翻訳協会」として設立され、1992年6月に「アジア太平洋機械翻訳協会」と改称された。機械翻訳の研究開発者、製造販売者および利用者の3者で構成されており、機械翻訳システムの開発・改良・啓蒙・普及を通じて機械翻訳の発展に努めている。

アダプテーション
学習済みの機械翻訳エンジンに、さらに特定の分野の対訳コーパスを学習させることをいう。その結果、より分野に合った翻訳結果を出力できる機械翻訳エンジンに調整することができる。

アフレコ
映像に合わせて後から声や音を録音すること。音入れ。

医学翻訳
⇒ 「医薬翻訳」の項を参照。

一致なし(ノーマッチ)
あいまい一致とは、CATツールのTM(翻訳メモリ)を使用して翻訳を行う場合、翻訳対象の原文と、TM内の文章が全く一致していないこと。全て新規で翻訳する必要がある。

一般翻訳
一般翻訳とは、文学のように芸術的な文章、技術文書のように専門的知識が必要とされない、一般大衆向けの日常的な内容の文書の翻訳のことである。

医薬翻訳
「医薬翻訳」は一般的に、 医薬品に関する翻訳、医療機器に関する翻訳、医学系の翻訳をまとめて、「医薬翻訳」もしくは「メディカル翻訳」と呼ぶ。医学論文、治療マニュアル、新薬の承認審査書類、医薬品添付書類、医療機器を日本で販売するにあたって必要な取扱説明書やカタログ、販売資料、販売承認申請書類、などがある。

医療翻訳
⇒ 「医薬翻訳」の項を参照。

インターナショナリゼーション
国際化。世界中で仕様を変更しない汎用化した製品を出すこと。

インハウス
企業などに常駐して翻訳をすること。社内翻訳者。

インバウンド
外国から自国への旅行のことで、訪日外国人旅行または訪日外国人旅行者のこと。

上訳/下訳
下訳は、翻訳の草案としての翻訳案を作成すること。またはその原稿のこと。上訳は、出版翻訳において、下訳をもとに出版できるレベルの翻訳にまで洗練させること、またはその原稿。

上書き翻訳
上書き翻訳とは、原文のレイアウトをそのまま流用し、クライアント支給のソースデータに直接文字を入力していく翻訳方法のこと。原文が、Word や Excel などの翻訳者が編集可能なファイルで、CAT ツールを使わない場合に、直接ファイル上で翻訳を行う。

映像翻訳
映像翻訳とは、映画、ビデオ、テレビなどの動画に、字幕または吹替のボイスオーバーをつける翻訳のこと。

オーバーライト翻訳
⇒ 「上書き翻訳」の項を参照。

オンサイト
翻訳者が在宅作業ではなく、翻訳会社や企業などで翻訳を行うこと。

カ行

買取形式/印税形式
出版翻訳の報酬の形式については二種類あり、買取形式は出版社が翻訳料を固定の金額で買い取る。印税方式は、出版社が翻訳料を本体価格の○パーセントという税率を元に販売部数に応じて支払う形式。

画面ショット
⇒ 「スクリーンショット」の項を参照。

完全一致(100%マッチ)
完全一致とは、CAT ツールを使用した場合、原文分節が TM(翻訳メモリ)内の翻訳と完全に一致すること。100%マッチ、Context Match 、ICE Match とも言う。過去の翻訳をそのまま流用することができる。

監訳
監訳とは、出版翻訳や学術論文などで、監修の役割で全体を査読し、内容や翻訳に間違いがないかを最終的にチェックすること。

機械翻訳(MT/Machine Translation)
機械翻訳とは、「Machine Translation」の略で、機械翻訳エンジンとよばれるシステムが機械的に翻訳することである。MT、自動翻訳と呼ばれることもある。代表的なものは Google 翻訳。エンジンの形式により、ルールベース機械翻訳(RBMT、RMT)、統計型機械翻訳(SBMT、SMT)、ニューラル機械翻訳(NMT)などがある。
従来は原文と訳文が対になった翻訳メモリを収集し、その統計をベースに行う機械翻訳が主流であったが、近年AIを活用したニューラルネットの学習アルゴリズムを使用したニューラル翻訳の出現でその動向が注目されている。

企画の持ちこみ
出版したい本の企画を出版社に持ち込み提案すること。

技術翻訳
技術翻訳とは、一般的に工業技術分野全般およびソフトウェア産業で扱われる文書で、コンピューター、通信、電子、電気、機械、自動車、建築、エネルギー、医療機器、材料、燃料電池、半導体、環境など、主に自然科学分野の技術文書の翻訳のことである。

キャピタリゼーション
キャピタリゼーションとは英訳における大文字の使い方のルールのこと。

キャプション
キャプションとは、文書ではスクリーンショットや図や画像の下にある短い説明文のこと、また、映像では字幕のことを指す。

共訳
複数の翻訳者で分担して翻訳すること。

禁則処理
禁則処理とは、日本語の文書作成・組版で文章を紙面に割り付ける際に、行頭や行末で禁止されている配置、行頭の句読点や行末の「(」、途中で区切ると誤解を招きやすい数字・数詞など、を避けるよう文字の位置などを調整すること。

クエリーシート
クエリーシート(Query sheet)とは、翻訳作業中に出てきた確認事項、不具合、コメントなどをまとめる定型フォームのことである。Excel シートなどを用い、クライアントに確認することが多い。

繰り返し一致(Repetitions)
繰り返し一致とは、英語のRepetitionsのことで、翻訳対象の文書内に2回以上存在する分節一致。その分節が初めて文書内に出現したときはCATツールに完全一致(100%マッチ)、あいまい一致(ファジーマッチ)と見なされるが、その次に出現したときは、繰り返し一致と認識される。

グローバリゼーション
経済的なグローバリゼーションとは、物資、サービス、技術、資本の国境を越えてマーケティングされ、世界中の国民経済が経済的に相互依存することである。

グローバルチェンジ
グローバルチェンジとは、何度も出てくる用語を一括で変換すること。

敬体
日本語の文体で、文末が「です・ます」調のもの。

言語ペア
言語ペアとは原文と訳文の言語の組み合わせのことを言う。「英日/日英」または「en_US -> ja_JP」のように表すことが多い。

原文
翻訳する対象の言語やファイルのこと。「Source」「ソース」と同じ。

原文計算/原文ベース
原文計算とは原文の文字数(ワード数)×単価で、翻訳料金を算出する方式である。

校正
校正とは原文と訳文を突き合わせて、誤字・脱字、スペルミス、数字記号の間違い、訳抜け、誤訳、クライアントの仕様の指示を守っているかどうかなどのチェックをすること。

コーディネーター
コーディネーターとは、翻訳業界では一般的に翻訳会社において翻訳ジョブのスケジューリング、翻訳者やリライターやチェッカーへの仕事のアサイン、工程管理などをするスタッフのことをいう。「翻訳コーディネーター」とも言う。翻訳会社によって定義が異なり、このほかに顧客対応、予算管理、チェッカー業務などさまざまな仕事を行なっている場合もある。

コールアウト
マニュアルなどのドキュメントで、図や画像やスクリーンショット一部を引き出して説明する線とそれについているテキストのこと。

コロケーション
collocationとは、慣用的な語と語のつながりのことである。

サ行

差分(差分編集)
差分編集とは、ドキュメントが改廃されたときに新旧のドキュメントを比較し、その差分(追加や削除、変更点)を旧ドキュメントに反映させて、ドキュメントを作成する業務のことである。

五月雨納品
⇒ 「分納」の項を参照。

産業翻訳
産業翻訳とは、一般的にあらゆる産業で発生する翻訳の総称として使われ、主に企業で発生する翻訳全般のことである。実務翻訳と同じ。

仕上がり計算/仕上がり訳文ベース
仕上がり計算とは、訳文の文字数(ワード数)×単価によって翻訳料金を算出する方式。通常、翻訳は原文の分量で課金するが、翻訳後の訳文の分量で計算する場合もある。

実体参照
実態参照とは、HTMLなどの sgml 文書で扱う特殊文字の記述のこと。これらのフォーマットではマークアップに使われる文字や記号がテキストとして使用できないので代替の別の文字列に置き換えて記述する必要がある。例:「&」は、「&」

実務翻訳
⇒ 「産業翻訳」の項を参照。

自動翻訳
⇒ 「機械翻訳」の項を参照。

字幕
字幕とは映画やドラマ、テレビ番組などの動画に、台詞などの情報を画面上に文字で表すこと。

字幕制作ソフト
字幕制作ソフトとは動画に字幕を付与するためのソフトウェアのことである。

出版翻訳
出版翻訳とは、文芸書、専門書、学術書など本の出版原稿に関する翻訳のこと。

仕様
仕様とは訳文の仕上がりの体裁すなわちレイアウトや表記法などについての注意事項のこと。仕様を記載した文書をスタイルガイドもしくは仕様書という。

常体
常体とは、日本語の文体で文末が「である」調のもの。

スクリーンショット
スクリーンショットとは、コンピューターやスマートフォンで画面に表示されている内容をそのまま撮影したもの。略して「スクショ」、「ショット」などということもある。

スクリプト
映像の台本のこと。字幕翻訳や吹替翻訳ではこれをもとに翻訳を行う。

スタイルガイド
スタイルガイドとは、表記を統一するために、表記のルールや定形表現、固有名詞などのガイドラインが規定された仕様書のことである。CATツールに関する補足などが含まれることもある。

スポッティング
字幕翻訳において、字幕ソフトで音声にあわせ字幕を表示させるタイミングを決めること。

生物翻訳
生物翻訳とは、バイオ翻訳とも呼ばれ、バイオテクノロジーなど、生物学の種々の分野の翻訳を指す。

セグメント
セグメントとは文章を分割したそれぞれの単位のこと、文節。

ソース
ソースとは翻訳する原文のこと。「Source」「原文」ともいう。

ソースクライアント
翻訳案件において下請けへの二次受注の関係が存在する場合、翻訳を依頼する大本の一次発注者のこと。略して「ソークラ」と言うこともある。

ソース言語
ソース言語とは翻訳する原文言語のこと。

タ行

一般財団法人 テクニカルコミュニケーター協会(JTCA:Japan Technical Communicators Association)
メーカー、マニュアル制作会社、ライターなどが集まりテクニカルコミュニケーションの技術向上を目指す業界団体。近年は、マニュアルだけではなく、Web やビデオなど製品に付随する技術全般を視野に入れている。

ターゲット
ターゲットとは翻訳された訳文のこと。「Target」「訳文」ともいう。

ターゲット言語
ターゲット言語とは翻訳される訳文言語のこと。

対訳
原文と訳文を並べて表示すること。

対訳コーパス
対訳コーパスとは、対訳を集積化させたデータベースのことである。

チェッカー
チェッカーとは原文と訳文を突き合わせて、誤字・脱字、スペルミス、数字記号の間違い、訳抜け、誤訳、クライアントの仕様の指示を守っているかどうかなどのチェックをするスタッフ。

出来上がりワード数
⇒ 「仕上がり計算/仕上がり訳文ベース」の項を参照。

特許翻訳
特許翻訳は産業翻訳の一つの分野で、特許明細書をはじめとした特許関連分野の翻訳のことである。

トライアル
翻訳の仕事を発注する前に、発注元に翻訳会社の翻訳品質を確認していただくためのテスト翻訳、また翻訳会社からフリーランス翻訳者へ登録可能水準にあるか実力を確認するために行う翻訳テストのことをいずれもトライアルと呼んでいる。有償の場合と無償の場合がある。

トランスクリエーション
translationとcreationを掛け合わせた言葉で、翻訳を対象の言語・文化に合わせ、原文と同じ効果が発揮される、最も効果的な表現でコンテンツを作成する。そのため、クリエイティブ要素が強くなり、原文に基づいているが、全く異なる文章になることもある。

ナ行

一般社団法人 日本翻訳連盟 (JTF:Japan Translation Federation)
⇒ 「日本翻訳連盟」の項を参照。

日本知的財産翻訳協会
(NIPTA:Nippon Intellectual Property Translation Association)

2004年3月に設立され、国際的な特許出願に対応できる知財翻訳技術の研究・開発及び翻訳者の能力向上などの支援を通じて、知財翻訳の普及啓発を図り、広く一般国民の知的財産に対する理解を深める。また、海外におけるわが国の知的財産の適切な保護で、経済の活性化に寄与することを目的としている。「知的財産翻訳検定」を実施している。

日本翻訳家協会
NPO法人日本翻訳家協会(Japan Society of Translators)は個人の翻訳家が中心となって1953年創立。国際翻訳家連盟(Federation of International Translators略称FIT)の正会員団体である。毎年、その過去一年に優れた翻訳書を刊行した翻訳家と出版社を顕彰し、翻訳研究フォーラムも開催している。外国語に関心を持っている多くの人々と共に、少数民族語を含むあらゆる外国語との双方向の翻訳を奨励し、その出版を促進することを目的としている。

日本翻訳協会(JTA:Japan Translation Association)
一般社団法人日本翻訳協会。派遣会社が中心となって1986年に設立、その後労働省(現在の厚生労働省)の認可を得て社団法人となり現在に至る。翻訳に対する社会の認識を高めること及び翻訳に関する技術及び知識を増進することによって翻訳の水準を高めること並びに翻訳者を支援してその自立を促進することを通じて、世界の文化交流及び産業経済の発展に寄与することを目的とする。「JTA公認翻訳専門職資格試験」など実施。

日本翻訳者協会(JAT:Japan Association of Translators)
NPO法人日本翻訳者協会は1985年に、日本在住の英語のネイティブスピーカーらを中心に創立、2001年に東京都認定のNPO法人となる。翻訳者のための情報交換の場を設け、それによって翻訳の品質を向上させ、翻訳をさらにやりがいのある仕事へ高めることを目的に設立された。会員数700名強のうち約5割は海外在住者。JATは、英日・日英翻訳国際会議(International Japanese English Translation Conference)を日本と海外で、毎年交互に開催している。

日本翻訳連盟(JTF:Japan Translation Federation)
一般社団法人日本翻訳連盟は1981年4月、翻訳会社が中心となって任意団体として創立、1990年9月、通産省(現在の経済産業省)の認可を得て社団法人となる。翻訳事業に関する調査、研究、研修会、人材育成などの実施及び翻訳関連の国際会議などへの参加を通じて、翻訳事業の振興を図り、もってわが国経済社会の発展に寄与することを目的とする。「JTFほんやく検定」、「JTF翻訳祭」、翻訳セミナー(東京/大阪)などを開催している。

人間翻訳
⇒ 「人手翻訳」の項を参照。

ネイティブチェック
ネイティブチェックとは、翻訳者が翻訳した文章を、ネイティブスピーカーが文章をチェックして、母語話者にとってより読みやすく、よりわかりやすく校正すること。

ハ行

バイリンガルファイル
バイリンガルファイルとは、1つのファイルに原文と訳文両方が併記されているもののことである。
一般的にはCATツールで翻訳後のファイル(xlf)のことを指すが、ExcelやWordなどでもよい。

ハコ書き(ハコ割り/ハコ切り)
ハコ書きとは、字幕翻訳においてスクリプトに区切りを入れて、1枚の字幕にどこまでの台詞を表示させるかを決める業務。現在はスポッティングの中で行われることが多い。

バックトランスレーション
バックトランスレーションとは、逆翻訳のことで、主に機械翻訳の内容を確認し、訳文の品質向上を目的とした校正作業の一つである。訳文から翻訳前の原文言語に再翻訳し、「原文」と「翻訳前の言語に再翻訳した原稿」を見比べ「訳文」を校正すれば、より品質の高い原稿となる。

ビジネス翻訳
ビジネス翻訳とは、産業翻訳・実務翻訳と同じ意味で使われる場合もあるが、主にビジネス文書の翻訳のことである。企業の営業部門・管理部門(総務・法務・人事・経理・広報IR部門)の資料を指すことが多い。

人手翻訳
人間による翻訳のこと。「機械翻訳」の出現で、対比として用いられる。「人間翻訳」「人力翻訳」とも言われる。

品質管理
⇒ 「QA」の項を参照。

複数訳文
1つの原文に対して、複数種類の訳文が存在すること。

符号化方式
符号化方式は、文字コードにおいて、文字に割り当てられた符号化文字集合のコードをコンピューターが認識できるバイト列に変換したもの。代表的なものに UTF-8 がある。

符号化文字集合
符号化文字集合とは、文字コードとして、それぞれの文字に一意で割り当てた番号の集まりのこと。 Unicodeなど。

プリエディット
プリエディットとは、翻訳精度を向上させるため、機械翻訳(MT)にかける前に行う編集作業のことである。「PE」と略す場合もある。

プルーフリーディング
プルーフリーディングは最後の仕上げの段階でのチェックを指し、リライトより後ろに来るプロセスである。
リライトが校正することが前提となっているのに対してプルーフリーディングは、その時点ではもう修正点が多くあるとは想定されていない段階であり、誤字・脱字、文法や句読点のチェックなどを行う。

プルーフリード
⇒ 「プルーフリーディング」の項を参照。

プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャー(Project Manager)は、翻訳・ローカライズ案件のプロジェクトを担当し、スケジュール・品質・コストを管理して作業を進行させる責任者のことである。

文芸翻訳
文芸翻訳とは文学・芸術分野の翻訳のこと。出版翻訳や映像翻訳の総称。

分納
分納とは、翻訳後の文章をクライアントに分割で納品すること。「五月雨納品」ともいう。

併記翻訳
併記翻訳とは、原文を残し、訳文は原文の下などに入力し、原文と訳文を両方併記して翻訳する形式のことである。

ベタ打ち
ベタ打ちとは、上書き翻訳と異なり、訳文を別途書き起こしながら翻訳すること。ソースファイルが編集できない場合、レイアウトがシンプルな場合などの場合にこの方法をとることが多い。

ボイスオーバー
ボイスオーバーとは映像翻訳で原音の上に訳を乗せることである。

ポストエディット(PE)/ポストエディター
ポストエディット。機械翻訳(MT)の後に人間が翻訳の編集・校正、手直しをして、人間の理解しやすい翻訳の品質にすること。この作業が少ない機械翻訳エンジンほど高品質と言える。「PE」ともいう。/その業務にあたるスタッフ。

翻訳コーディネーター
⇒ 「コーディネーター」の項を参照。

翻訳支援ツール
翻訳者がより高品質な翻訳を効率的に行うために使用するソフトウェアを総称して「翻訳支援ツール」と呼ぶ。具体的には、翻訳メモリツールと用語集、翻訳ソフトが含まれる。

翻訳者登録制度
翻訳サービス提供組織(TSP)に対する要求事項を規定した国際規格ISO17100に基づき、専門的力量を有する翻訳者を第三者機関(日本規格協会 翻訳者評価登録センター)が評価し登録する制度。(日本要員認証協会ホームページ https://www.jrca-jsa.or.jp/

翻訳ソフト
⇒ 「機械翻訳」の項を参照。

翻訳チェック/翻訳チェッカー
⇒ 「チェッカー」の項を参照。

翻訳メモリ
⇒ 「TM」の項を参照。
厳密には「翻訳メモリ」は原文と訳文のデータベースのことを指し、翻訳メモリを搭載したソフトウェアを「翻訳メモリツール」と呼ぶ。

マ行

マッチ率
マッチ率とは、CATツールを使用したときに、翻訳メモリに登録されている訳文と翻訳対象の文章の一致率を表したものである。文節単位で解析され、ワードカウント (解析) 結果が算出される。

マニュアル翻訳
マニュアル翻訳とは、技術翻訳の一種でハードウェア・ソフトウェアの取り扱い説明書を翻訳することである。

メディカル翻訳
⇒ 「医薬翻訳」の項を参照。

メモリ作成
メモリ作成とは、CATツール上で、原文と訳文を一対のペアとしてデータベースを作成すること。

文字コード
文字コードとはコンピューター上で利用するために、各文字・記号に割り当てられるコードやそのコード体系。ASCIIやUnicode、UTF-8, Shift-Jis などがある。

文字化け
文字化けとは、ソフトウェアやハードウェアのトラブルや規格の違いなどで、文字がその言語では意味をなさない他の文字や記号に置き換わってしまう現象のこと。

ヤ行

薬学翻訳
⇒ 「医薬翻訳」の項を参照。

訳文
訳文とは原文から翻訳された後の言語やファイルのことをいう。「ターゲット」「Target」と同じ。

訳文生成
CAT ツールで翻訳されたバイリンガル形式のファイルを、原文を削除し訳文のみの形に生成すること。

ユニコード
⇒ 「Unicode」の項を参照。

用語集
用語集とは、用語の統一や翻訳の効率化を図るために、翻訳対象の専門用語や特別な用語など、一般的でない用語の意味、訳語、定義、メモをセットにして記載されたもののことである。

ラ行

リーディング
出版翻訳の前段階として、原書の作品の概要やあらすじ・評価について、シノプシスというレジュメを作成すること。

リライター
リライターとはリライトする人のこと。 ⇒ 「リライト」の項を参照。

リライト
リライトとは、翻訳後の文章をネイティブスピーカーから見て、より読みやすく、わかりやすい文章となるようにブラッシュアップすること。

リンギスト
リンギストとは翻訳品質の管理や校正業務などを担当するスタッフのこと。翻訳会社によっては、翻訳メモリ・用語集の運用、リソースの管理、クライアントとの折衝を担当することもある。

レジュメ(シノプシス)
出版翻訳において、出版社が出版を判断するための参考資料のこと。 ⇒ 「リーディング」の項を参照。

レビュー/レビューアー
レビューとは、原文と訳文を読み合わせて、意味が離れていないか、誤字・脱字などのチェックがないか、翻訳のクオリティに踏み込んだチェックをすること。/その業務にあたるスタッフ。

ローカリゼーション
ローカリゼーションとは、製品をターゲット国の言語的および文化的仕様に適合させることである。ローカライゼーションとも言い、「L10n」と略すこともある。

論文翻訳
論文翻訳とは、学術論文を翻訳すること。例えば、技術翻訳分野で言えば、通常の技術資料やマニュアルの翻訳と比べて論文の翻訳は難易度が高いため、論文の翻訳は別扱いで「論文翻訳」という名称を使う場合がある。

ワ行

ワードカウント
ワードカウントとは、翻訳代金の請求の単位となるワード数 (文字数) をカウントすること。

数字

100% Match
⇒ 「完全一致」の項を参照。