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JTF翻訳セミナー(東京) JTF関西セミナー(大阪)

翻訳セミナー情報 JTF翻訳セミナー(東京) セミナー受講ご希望の皆様へ

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2009年のJTF翻訳セミナー活動報告

第6回
開催日 2009年11月12日 セミナー: 14:00 〜 16:40 懇親会: 17:15 〜 19:30 [希望者のみ]
テーマ 「人材育成実践例! 英語翻訳者と中国語翻訳者」
講演者 仲谷 幸嗣(なかたに・こうじ)氏
株式会社トランスワード 代表取締役
概要 翻訳はサービス業であることを強く認識し、「お客様のビジネス成功のための翻訳サービス」を提供することが私達の使命である。また翻訳者を目指す語学学習者にプロの翻訳ノウハウを伝え、技術の国際交流に貢献する翻訳者を世に送り出すことも大切である。
トランスワードは1997年の創業以来、自社で育成した翻訳者によってお客様に満足していただくサービスの提供を実践してきた。また2005年に、中国語翻訳サービス提供のために中国・大連市に子会社を設立。
英語翻訳者も中国語翻訳者も果たすべき使命は同じであると考え、中国拠点でも独自の方法で社員の育成を行っている。ただし中国と日本では文化的背景・教育の内容が異なるため、そのギャップを埋めるための工夫が必要。
日本ではとかく、「中国人は・・・・で、・・・・だから、難しい。」などと理由を付け、中国ビジネスを敬遠する人が多いが、課題を克服して「中国でも成功するための翻訳サービスの提供と翻訳者育成」を実践した例を紹介したい。
また翻訳業務を効率的に行うために開発した、独自の受注業務管理手法も紹介。

【対象】
○翻訳会社の経営幹部・コーディネーター・QAの方
○中国への事業展開や翻訳者の人材育成でお悩みの方

⇒本研究会の講義内容をDVDで受講できます

【講師略歴】
1952年生まれ。工業高専の電気工学科を卒業後、造船会社と自動車会社で計17年間勤務。
1990年に退社後、2つの会社の翻訳部門長を歴任して翻訳部門を立ち上げる。
1997年に独立して広島で創業。翻訳サービスと並行して技術翻訳スクールを運営し、多数の翻訳参考書を執筆・出版しながら、自ら新人翻訳者を養成。
2005年に中国大連市で特朗思翻訳(大連)有限公司を設立。英・日に堪能な中国人翻訳者の養成に力を入れている。

2009年度 第6回JTF翻訳セミナー報告

 英語翻訳者でも中国語翻訳者でも大切なことは、これぞプロと呼べるような品質の高い翻訳を、顧客に提供するためのノウハウを身につけることである。とはいえ、語学スキルが高いだけでは、品質の高い翻訳が提供できるとは必ずしもいえないのが翻訳の難しさ。今回は日本と中国で翻訳者を育成してきた仲谷氏が、翻訳者育成の実践例と苦労について語った。

プロ翻訳者を養成するには
 トランスワード社では、入社後、翻訳者に、自社の翻訳スクールで翻訳技術やテクニカルライティングの考え方を学ばせ、OJT で様々な実務を経験させる。プロの翻訳者を養成するには、語学力や専門知識を前提として、最低4・5年の修練と実務経験が必要である。また、翻訳者教育の目安として、スキルチェックシートを作成、翻訳者のレベルに応じて、A からD まで、4段階のランクを設定、各レベルに達するために必要な要件を「一般業務」「翻訳」「PC 操作」というスキルごとに定めている。「PC 操作」は効率的に翻訳作業を行うために必要なスキルであるが、特にタイピングやメール作法は、プロの翻訳者にとって重要である。トランスワード社では、タイピングコンテストを開催、また、メール作法に関する様々なルールを設けている。

中国語翻訳者の養成
 トランスワード社は、中国語関連の翻訳需要の高まり、顧客からのコストダウンの要求などを受けて、2005年、中国・大連市に子会社を設立した。大連は、上海・北京などの大都市に比べて、人件費が安く、上昇志向の高い人材も多い。また、日本企業が多く進出しているせいか、対日感情が意外と良い。一方、大連は、エレベーターやトイレなどの設備が劣悪なオフィスビルも多く、オフィス選びに苦労する企業も多い。また、家賃表示やオフィス面積表示のルールが日本と違う点、事務所設立までの手続きや設立後の当局担当者の対応が煩雑な点など、中国独自の問題でとまどう日本企業も多い。
 中国人採用は、フレッシュで教育しやすい新卒者、粘り強い地方出身者の採用を重視している。立派な履歴書を提出する志望者や「日本留学経験」をアピールする志望者もいるが、そのような外面にまどわされず、あくまで会社に貢献できるかを見極めるために、入社試験では小論文を設け、人物の本質を評価している。採用後は、学歴や成績資格でなく、会社への貢献度に従って給料を支払う方法を採用している。
 中国人の教育において、翻訳教育については、スクールがないだけで、日本人を教えるのとほぼ同じだが、日本人に比べ、緻密さがやや欠ける国民性なので、翻訳サービスの水準に達するまでに日本人以上に根気よく教える覚悟が必要である。また、ビジネスマナーや接遇マナーについては、中国国内でほとんど教育されていないので、日本流の仕事におけるマナー、たとえば挨拶・服装・仕事への心構え・メール作法を徹底的に教育している。

翻訳業務の効率化にむけて
 トランスワード社では、翻訳業務を効率化させるIT ツールとして、受注業務管理システム「効率課長」を開発。自社の翻訳事務処理の効率化に役立てるとともに、他社にもカスタマイズ販売して、翻訳業界全体の業務効率化に貢献している。

むすび
 仲谷氏の講演を拝聴して、長年のご経験で蓄積された翻訳者養成のノウハウはもちろんだが、中国の商習慣やお国柄と日本とのギャップに悪戦苦闘しながらも、あらゆる知恵を使って突破口を見出す、氏の国際感覚と行動力に感銘を受けた。競争が激化する翻訳業界において生き残るために必要な経営力を認識するとともに、競争の厳しさを実感した研究会だった。

報告者:芹沢 耕太郎(フリーランス翻訳者)


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