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JTF翻訳セミナー(東京) JTF関西セミナー(大阪)

翻訳セミナー情報 JTF翻訳セミナー(東京) セミナー受講ご希望の皆様へ

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2009年のJTF翻訳セミナー活動報告

第2回
開催日 2009年7月9日 セミナー: 14:00 〜 16:40 懇親会: 17:15 〜 19:30 [希望者のみ]
テーマ 「半歩抜きんでた医薬翻訳者になるために:リピートオーダーをめざして」
講演者 石原 文子(いしはら・ふみこ)氏
医薬翻訳者
概要 翻訳需要が比較的安定していると言われる医薬翻訳分野でも、常に仕事を受注し続けるためには、それなりのポイントがあり、そのための努力も必要となってくる。理系・文系を問わず、これから医薬翻訳者を目指す方には、医薬翻訳者として仕事を得るためのアドバイスを行い、また、医薬翻訳者として業務を開始して日の浅い方には、安定して仕事を受注し続けるためのポイントについて、経験と実践を踏まえた上でご紹介したい。医薬翻訳者として「あるべき姿」はどのようなものなのだろうかということについても、考察する予定である。
 ⇒課題文はこちらから

【対象】
○これから医薬翻訳者を目指す方(フリーランス・社内)
○医薬分野で業務を開始して日の浅い方
○医薬翻訳分野で継続的な受注を目指す方

⇒本研究会の講義内容をDVDで受講できます

【講師略歴】
明治薬科大学大学院修士課程修了。
臨床検査薬メーカーの学術部、後に国際事業部にて勤務。
輸入薬、輸出薬のマニュアル作成、米国病理学会の定期刊行物の翻訳などに従事した後に、出産退職。
その後、通信教育にて正式に翻訳を学び、1989年よりフリー翻訳者として医薬分野にて翻訳業務を開始。
1999年から2004年まで、フェローアカデミー通信教育講座マスターコースにて「メディカルI」の講師を担当。
訳書に「21世紀の処方箋」(扶桑社)がある。

2009年度 第2回JTF翻訳セミナー報告

 フリー翻訳者がトライアルに合格後、翻訳の仕事を継続できるかどうかは、同じクライアントからリピートオーダーを受けられるかどうかが重要なポイントである。そのためには単に翻訳力を磨くだけでは足りない、もっと重要な何かがあるようである。医薬翻訳業界で20年にわたり継続的に仕事を受注してきた石原氏がそのポイントを語った。

●一番重要なこと
 翻訳者として継続受注を得るために一番重要なのは、訳文が利用される状況を予測し、その翻訳に何が求められているのか(= ニーズ)を的確に読み取ることである。医薬翻訳は分野が限られているとはいえ、様々な文書がある。例えば、論文、試験報告書、新聞記事、アニュアルレポート、広告文、販促資料、など。多岐にわたる文書それぞれに読者がいることを意識し、患者向けのものであるなら、「ですます」調で、論文なら「である」調で、新聞記事は「だ」調で、というように、読者に合わせて文体を変える。ソースクライアントや翻訳会社からの指示があれば、それに従うことが、その翻訳に最も求められていることになる。

●医薬翻訳者としての自己鍛練
 前述したように、ニーズの把握は重要ではあるが、こなれた訳文で読み手に負担をかけないことも重要である。良い訳文を作成するには、「翻訳力」が必要である。そして、翻訳力の下地となる三本柱として、「専門知識」、「日本語力」、「英語力」が挙げられる。これらをまんべんなく鍛えることで「翻訳力」が付くと考えられる。
 「専門知識」は、原文の内容をある程度理解できるくらいの力は必要不可欠である。これから医薬翻訳者を目指す人は、日常生活の中で専門知識を蓄積していくことができるような方法を利用するのが良い。例えば、新聞記事を丹念に読み、記事に出てきた医学用語を調べたり、医学小説で医療現場の背景知識を仕入れるなどで、楽しみながら知識を得ることができる。
 「英語力」については「慣れ」が重要。英語表現に関しては、文化的背景の違いを意識する。書簡、新聞・雑誌記事、総説・レビューなどでは、文化的背景を踏まえた表現が行われることも少なくない。また、論文をたくさん読むことをお勧めするが、それ以外にも、医薬関連の映画、海外ドラマ(ER など)、新聞記事、小説などでも専門分野の英語力を付けることができる。
 「日本語力」は、3本柱の中で一番おろそかに考えられがちであるが、一番重要である。「てにをは」、パンクチュエーション、副詞の呼応、数詞の使い方、視点のずれがない、主語と述語の齟齬がないなど、基本的な日本語力がついていることが、読みやすい翻訳に必要不可欠である。音読してリズムのある、格調高い、正しく、きれいな日本語を心がける。そのためには、国語文法をしっかり身につけること、国語辞典を活用することが大切。訳語の選定に際しては、日本語の大型辞書を手元において確認を怠らないようにすること。

●契約受注を目指して
 好まれる翻訳者とは、クライアントの要求を第一に考える翻訳者である。指定用語の厳守、表記方法の遵守などを怠らない。また、調査への熱意があること。実務翻訳は調査するのが仕事と考え、納得できないところは時間が許す限り徹底的に調べる。PubMed という医学文献検索サイトがあるので、ここで調べることができる。
 また、翻訳会社とは密に連絡を取り合いコーディネーターとは円満な人間関係を作ること。翻訳会社からの質問には、面倒がらずに、誠意をもって答えるようにし、また、答えられるようにしておくことが大切である。

 訳文に求められているニーズを読み取り、的確に対応することが、継続受注を続けるための重要ポイントであるというお話しを、紳士服のオーダーメードに置き換えて説明され非常に納得がいった。ニーズを読み取るのは難しいことではあるが、まずは読みとる姿勢が必要であると認識させられた研究会だった。

報告者:早舩 由紀見(個人翻訳者)


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