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JTF翻訳祭 翻訳祭企画実行委員会

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第19回JTF翻訳祭報告

翻訳者・翻訳会社・クライアントのための翻訳祭【翻訳業界団体の日本翻訳連盟】

「今こそ、脱皮のとき! 〜世界同時不況から一年、翻訳業界の進むべき道〜」

⇒翻訳祭のセッション内容はDVDで受講できます

開会挨拶第19回JTF翻訳祭が平成21年11月20日、「今こそ、脱皮のとき! 〜世界同時不況から一年、翻訳業界の進むべき道〜」をテーマに、東京・八丁堀のマツダホールで開催された。メイン会場では二人の講師による講演とパネル・ディスカッションが行われ、同時に地下1階のサブ会場で翻訳プラザが開催された。続いて、鉄鋼会館ニューオータニにおいて交流パーティーが開催された。JTF翻訳祭は、本年も参加者が増加し、交流パーティーも盛況であった。

【講演1】「翻訳会社・翻訳者に今一番求めるもの」

中村 和幸(なかむら・かずゆき)氏 日本オラクル株式会社 WPTG-Japan シニアランゲージスペシャリスト

中村 和幸(なかむら・かずゆき)氏 講演風景中村 和幸(なかむら・かずゆき)氏 講演風景競争と変化の激しい今の社会状況下で、翻訳者、翻訳会社、クライアントの三者を含めたIT 翻訳の状況は今後どのように「進化」していくのか。翻訳を仕事にされている方達へ、「翻訳」という仕事の未来を考えてもらう「気づき」となるようなお話しができればと思う。講演会を聞いて終わりにしないで欲しい。

クライアントにとっての翻訳とは、製品への付加価値を提供するサービスの一つである。その品質は、日本のお客様に、製品が問題なく正しく使用できるようアシストするために不可欠なものであり、翻訳品質は製品品質の一部とお客様は考えてもいる。

オラクルの製品翻訳は、アイルランドのダブリンに拠点を持つWPTG(Worldwide Product Translation Group)が担当している。WPTG は、オラクル全製品の翻訳およびローカライズ業務を、約40ヶ国語に展開している。翻訳作業は翻訳会社に依頼しているが、言語によって、MLV(Multi Language Vender)とSLV(Single Language Vender) を使い分けている。翻訳の前後処理、翻訳情報とステータス管理、翻訳担当者からのQ&A の管理は、すべて自社開発のツール群で行っている。

翻訳への要望は、QCD(品質、コスト、納期)に集約される。この中で、翻訳品質(一次品質)は、翻訳会社で完結していてほしい項目である。クライアントは、翻訳を製品にビルドインするための、製品全体としての品質(二次品質)、アフターフォローなどの三次品質の管理に集中したいので、誤訳、抜け、用語の統一などは、翻訳会社と翻訳者で完結させて欲しい。コストについてはできれば減らしたいと会社側が考えるのは当然のことなので、逆に翻訳会社側から、こういう理由でこの翻訳にはこれだけのコストがかかるという、明確な価値を提供していただけると、クライアントも納得できる。納期については、世界同時リリースが増えている背景や他社よりも先に出したいといった理由で、スピードを重視する傾向にある。また、そのために開発スケジュールが流動的になる場合もある。その場合にも、オンサイトでやりましょう、とか、スケジュール変更時に的確なアドバイス、ソリューションを提供していただけるととても助かる。

このような不況下であっても、クライアントが求めているのは、単なる安くて速い翻訳を提供するだけの会社ではなく、翻訳をサービスと考え、付加価値を提供していただける翻訳会社、そして翻訳者である。

 

【講演2】「翻訳市場の変化と翻訳会社・翻訳者が直面している課題」

井口 耕二(いのくち・こうじ)氏 技術・実務翻訳者、JTF常務理事

井口 耕二(いのくち・こうじ)氏 講演風景井口 耕二(いのくち・こうじ)氏 講演風景近年の翻訳を取りまく環境の変化として、インターネットやツールの普及、それに伴う納期の短縮、単価の下落などが挙げられるが、これらをまとめると、「きちんとした調査に裏打ちされた上質の翻訳を、安価・短納期で仕上げることが求められるようになった」と言える。しかし現実は誰にでもわかるような誤訳が多く存在する。誤訳、悪訳が製品になるのは、翻訳者、翻訳会社、ソースクライアントのいずれにも原因があると考えられる。それぞれの問題点を考えてみたい。

翻訳者は、どうせ翻訳会社が直してくれると思って内容を理解せずに翻訳する、後工程を考えずに自分勝手なスタイルで翻訳する、「いい翻訳とは何か」を考えずに仕事をしているなどが問題点として考えられる。翻訳会社は、翻訳がどういうものか見えていない、何を求めているかを翻訳者に伝えていない、翻訳者が見えていない、ソースクライアントのニーズが見えていない、クライアントへ提案ができていないなどが考えられる。

そして、ソースクライアントは、一律にコスト引き下げを求める、コスト削減や品質管理は翻訳会社に丸投げするなどの問題点が考えられる。これらをそれぞれの仕事に携わる人たちが認識し、改善すれば、悪い翻訳は減っていくと思う。

翻訳者の立場から昨今の状況を見ると、非常に悪化していると言わざるを得ない。メモリーツールの導入、納期の短縮、単価切り下げなど、すべてが質よりも量の優先を示している。特に単価切り下げは、生活できるだけの収入を稼ぐためには量を増やすしかない状況を生んだ。量を優先するために質を落とし、それが恒常化して力を落とす翻訳者も出ている。新人が翻訳の力をつけてゆくこともほぼ不可能な状況である。その先にあるのは、建築業界を騒がせた耐震偽装の世界だ。ソースクライアントは、翻訳が大量生産の工業製品とは違う、翻訳者が注文を受けて一から作成する注文製作の一品ものであることを理解してほしい。大事な案件については注文製作に見合ったコストを支払ってほしい。依頼内容によって取引先を変える、マイナスを呼び込む指示をやめるなど、コストを削減する方法はあるはず。翻訳会社を締め付けるだけでは、耐震偽装を呼び込むだけだろう。

翻訳者、翻訳会社、ソースクライアントが各自の分担についてきっちりと仕事をすれば、三者が納得できる条件で良い仕事ができるようになるはずだ。

【パネルディスカッション】「翻訳不況への対抗策 〜変わらぬものと変えるべきこと〜」

司会者:昨年末以来の大不況がビジネスに与えた影響は?

中村:大きい。商品数が減った。

牧田:複写機やプリンター等の販売が落ちてきているため、新製品の発売を控えていることから翻訳も減少してきている。

時國:出願件数が減り、50%以上仕事が減っている人もいる。自分はほぼ変わらないが。

石岡:ほとんど影響はなく、10%以下程度。

司会者:時國さんが不況に強い理由は?

時國:長い付き合いをしている特許事務所からの仕事が途切れない。要は自分に合うクライアントを見つけているかどうかだと思う。

司会者:もっと具体的には?

時國:単に翻訳を受けるのではなく、発注側と協力関係にあり、共に助け合っていると思っている。その際に品質は重要だ。

石岡:大阪は、もうずいぶん前から不況状態であり、速い安い翻訳は当たり前の状況。質を上げるには、翻訳工程の全体を見る必要がある。2000年以降、無理な要求が多くなったが、受けてみると意外とできることが分かった。こちらが鍛えられた部分もある。

中村:不況により産業構造が変化するのでそれを見逃さないようにすること。当社の本業は印刷業だが、今はいかに印刷物を減らすかということに取り組んでいる。新しい分野を見つけることが重要である。

牧田:アンケートでは翻訳会社とトラブルは少ないとあるのは意外。翻訳会社とのトラブルは多いのではないか。トラブルを減らすには、翻訳会社も専門性を持つことが重要。信用、信頼関係が必要である。

司会者:翻訳料金が安くなった理由をどう考えるか?

石岡:翻訳者の能力次第で、安くも高くもなると思う。

中村:安くても受けざるを得ないので受けてしまうのがよくない。

時國:自分の提供するものに自信を持ち、安い仕事を引き受けない。相手を選ぶ必要がある。

石岡:翻訳者はスピードを上げる努力をしてほしい。質よりもスピードの方が上がりやすい。

時國:翻訳の品質は、初心者の方が改善できる。翻訳を始めてから5年間は力が付く時期なので、この間は我慢して質より量にならないようにしたい。

石岡:翻訳を始めて3年程は、収入よりも品質をあげる努力をする方がよい。

丸山均氏・牧田克彦氏

左から:丸山均氏・牧田克彦氏

石岡映子氏、 中村哲三氏、 時國滋夫氏

左から:石岡映子氏、 中村哲三氏、
時國滋夫氏

会場風景

会場風景

会場風景

会場風景

 

中村:専門に特化することにより、サービスを提供できる。日本のソースクライアントは、逐語訳を求める会社が多い。そのような会社を説得できるような、翻訳会社が求められていると思う。リコー社では、日本語と英語のマニュアルの厚みは同じか?

牧田:日本語の方が厚い。

中村:日本語と英語で論理構成が違うので仕方がないが、昔の仕事で、イギリスからのクレームで、なぜ日本語のマニュアルの方が厚いのか、情報量が違うのではないかというものがあった。

牧田:実際、日本語のマニュアルはたくさんの日本人の目に触れて、QA 時のフィードバックが多いため、ボリュームが大きくなるということもある。

中村:本来は、日本語、英語、双方で同じ内容でなければならないと思う。

牧田:最近は、英語の品質の向上が求められている。英語マニュアルも日本語の翻訳ではなく執筆する。最初から英語でライティングすることにより高品質を実現する。今後はそのようにしていく必要があるのではないかと思う。

司会者:翻訳者への提案はあるか?

時國:翻訳は非常に良い仕事だと思っている。ただし今は時期が悪いので数年は待った方がよい。翻訳者は一人で作業をやることが多いが、積極的に業界の情報を得るようにしたい。

石岡:当社は翻訳者を大切にしている。その文章を誰が何のために読むのか想像してほしい。言葉から入るのではなく、文書の役割を考えて翻訳してほしい。外に出て情報を得て様々な知識を身につけてほしい。

【交流パーティー】

東 郁男(ひがし・いくお)氏●JTF会長挨拶
東 郁男(ひがし・いくお)氏
株式会社翻訳センター 代表取締役社長

今日は、クライアント、翻訳会社、翻訳者の貴重なご意見を聞くことができました。1960年代に最初の翻訳会社ができた頃は高度経済成長期でした。それ以降、日本経済も順調に伸びてきましたが、ここ1、2年で悪くなってきました。経済環境が変われば、違うやり方を考えなければいけない。翻訳業界も過渡期に来ています。これを機会に、お互いが意見を出し合い、議論を尽くしてよりベターな道を探すことによって、業界の中に良い雰囲気が生まれるのがよいと思います。厳しい状況が続くことも予想されますが、業界一丸となって不況を乗り越えたいと思います。

 

中内 重則(なかうち・しげのり)氏●来賓挨拶
中内 重則(なかうち・しげのり)氏
経済産業省 商務情報政策局サービス産業課 企画官

第19回翻訳祭の開催を心よりお喜び申し上げます。翻訳事業は今後も成長が予測されており、JTFの一層の活躍が期待されます。他方で、サービス産業が抱える問題についても積極的に取り組んでおります。足元の経済動向は、実質GDP が2期連続上昇という情報もあるのですが、まだ先行きは楽観できません。中小企業や個人事業主が多い翻訳業界も状況は厳しいと予想されますが、その中で持続的に発展するには、多くの事業者の創意工夫が必要になります。そのために「今こそ脱皮のとき」という今回のテーマは誠に時宜を得たものです。競争者のいない未開拓の市場を掘り出そうとチャレンジする事業者を特に応援いたします。

第50・51回JTFほんやく検定1級合格者表彰式 ※第50回:2009年2月実施 第51回:2009年7月実施

植田 忠志(うえだ・ただし)氏●祝辞
植田 忠志(うえだ・ただし)氏
ほんやく検定委員長、JTF理事

JTFの検定は実践的な翻訳技能を評価するものであり、この翻訳が商品として通用するか、お金が取れるかという部分を測定するものです。1級を取られたことには大いに胸を張ってください。当社でも本検定の合格者には力を発揮していただいています。特に1級は仕事に結びつく資格です。同期の合格者同士で連携を取り、励まし合って頑張ってほしいと思います。また、今日は翻訳会社の方が多数来ておられますので、自分自身を積極的に売り込んで、仕事につなげていただきますよう期待します。

 

●1級合格者の方々1級合格者の方々1級合格者の方々

 

●合格者代表挨拶
合格者代表挨拶 中村 泰洋(なかむら・やすひろ)氏中村 泰洋(なかむら・やすひろ)氏

 

●謝辞・乾杯挨拶
謝辞・乾杯挨拶 川村 みどり(かわむら・みどり)氏 川村 みどり(かわむら・みどり)氏
翻訳祭企画実行委員長、JTF理事
株式会社川村インターナショナル 代表取締役

今回は不況とインフルエンザの二重苦での開催となりましたが、翻訳祭史上最高の参加者数を達成しました。心より感謝申し上げます。特に、テクニカルコミュニケーター協会からは、常務理事の三堀邦夫様が本委員会に入ってくださり、翻訳祭運営への協力をいただきました。我々は今、誰もが激しい競争に見舞われ、非常に厳しい状況に巻き込まれています。あまり大きくはない翻訳業界は、全体が一丸となり、頑張って不況を乗り切らないと淘汰されてしまうのではないかと、今日一日考えました。

【翻訳プラザ】

展示・デモコーナー 出展企業(50音順)
翻訳ソフト、辞書、CD-ROM、PC等の展示・デモ

 

書籍・翻訳相談コーナー 出展企業(50音順)
書籍の販売、翻訳会社・翻訳学校の担当者との相談コーナー

●翻訳プラザ風景

翻訳プラザ風景翻訳プラザ風景翻訳プラザ風景
翻訳プラザ風景翻訳プラザ風景翻訳プラザ風景

報告者:早舩 由紀見(個人翻訳者)

⇒翻訳祭のセッション内容はDVDで受講できます

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