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JTF翻訳祭 翻訳祭企画実行委員会

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第18回JTF翻訳祭報告

翻訳者・翻訳会社・翻訳発注企業のためのJTF翻訳祭【主催:翻訳業界団体の日本翻訳連盟】

「翻訳業界のビジョンを描こう 〜クライアント・翻訳会社・翻訳者、それぞれの責任〜 」

⇒翻訳祭のセッション内容はDVDで受講できます

会場風景第18回JTF 翻訳祭が10月22日、「翻訳業界のビジョンを描こう 〜クライアント・翻訳会社・翻訳者、それぞれの責任〜」をテーマに、東京・八丁堀のマツダホールで開催された。メイン会場では、二人の講師による講演とパネルディスカッションが行われた。同時にサブ会場では翻訳プラザが開催され、続いて行われた交流パーティーも盛況であった。また、第48回および第49回JTFほんやく検定の1級合格者が招待され、パーティー会場で表彰式が行われた。

【講演1】「IT 翻訳の発注側からみた品質管理と翻訳会社への期待」〜求めているのはパートナーです〜

俣野 宏子(またの・ひろこ)氏 サン・マイクロシステムズ株式会社 東京ソフトウェア本部 製品開発統括部 情報開発部 主幹部長

講演風景サン・マイクロシステムズでは、常時17の認定翻訳会社と取引があり、各翻訳会社の各ジョブごとに翻訳物の評価を行っている。評価は、QA matrix というソフトウェアを使い、スキル、コミュニケーション、パフォーマンスという3つの観点で行っている。QA matrix での評価点が2期(6ヶ月)連続で80%を切ると、CAR(Corrective Action Reviews) を発行して、その翻訳会社とミーティングを持ち、それでも改善されない場合は契約解除となる。

 

俣野 宏子(またの・ひろこ)氏当社では、近年、翻訳の発注量が減っている。緊急性と品質要求が高い文書のみを翻訳会社に発注し、それ以外は「コミュニティ」に翻訳を任せているからである。「コミュニティ」とは、当社だけでなく、その他のネットワーク会社が開発したソフトウェアごとに、ソフトウェア技術者や翻訳者によって作られたインターネット上のグループで、ソフトウェア仕様書をボランティアで翻訳している。今後、取説等の翻訳依頼先は、翻訳会社とコミュニティに2分化していくと予測している。当社では、長期間にわたり一緒に問題を解決しながら戦略的にプロジェクトを進めていけるパートナーとしての翻訳会社を求めている。

【講演2】「高まるリーガル翻訳者の役割」〜指名される翻訳者への道〜

飯泉 恵美子(いいずみ・えみこ)氏 有限会社ジェックス 代表取締役

講演風景リーガル翻訳は難しい分野と言われているが、リーガル文書や契約書が注目されるようになり、分野を問わず関わっている翻訳者が多くなっている。例えば、IT 翻訳者であればライセンス契約書などをマニュアルと一緒に翻訳するケースは多いだろう。契約書の種類や用語は難しいと思われがちであるが、実はそれほど種類は多くない。リーガル翻訳の特徴は言葉が少ないことにあるのだが、その少ない言葉を間違えると法律の知識がない翻訳者だと思われるので、用語をしっかり勉強する必要がある。たとえば“nondisclosure agreement”は、機密保持契約と訳されることが多いが、「機密」というのは国家の軍事・行政上の用語であり、民間企業の契約では「秘密保持契約」が本来正しい表現である。また未来のwill とshall など、時制にも気を付けなければならない。

飯泉 恵美子(いいずみ・えみこ)氏クライアント、翻訳会社、翻訳者が良い関係を保ち、現状ある問題に対応していくにあたって、クライアントは翻訳に求める条件を明確に示すことが必要。翻訳会社はクライアント、翻訳者に対する条件を確認することが重要。翻訳者は品質と納期に責任を持つことを最重要と考えてほしい。

【パネルディスカッション】「翻訳業界とクライアントの共生」〜真のWin-Win 関係を目指して〜

司会:翻訳作業の将来を見つめるというテーマに対して、翻訳会社の方はクライアントと翻訳者の間に立ってつらい立場にありますが、Win-Win という関係は幻でしょうか、それともあり得るのでしょうか?

沼澤氏:存在すると思う。Win-Win の関係がないと、翻訳業界の仕事は成り立たないと考えている。翻訳会社と翻訳者が共同で作業するという意識を持って、お客様(クライアント)の先にあるマーケット、すなわちエンドユーザーに対して最高品質のものを届けるという理念でやらないとだめ。

田中氏:翻訳者としては、翻訳会社もクライアントももっと収益を上げていただいて、翻訳者に還元してほしい。ある一定水準以上の翻訳者が家族を養っていける収入を得られるような体制を業界として確立してほしい。現状はまだ確立されていない。

村田氏:特許は一字一句で勝負が決まるため、現場では品質を最重視している。少なくとも品質という面ではWin-Win の関係が成り立つと考えている。

二宮氏:価格についてWin-Win はあり得ないと考えている。クライアントは安い方がいいし、翻訳者は高い方がいい。価格を覆すような品質を証明できるかどうか。できないのであれば、やはり価格についてはあり得ない。

司会:価格では難しいが、品質ではWin-Win の関係があり得るということについて、翻訳者側の考えは?

田中氏:価格と品質は切り離せない。翻訳者同士で情報を共有し、各クライアントで異なるスタイルガイドをマクロに組み込んで翻訳作業を効率化している。翻訳会社でも同じように作業をもっと効率化することで、同じ作業を短時間でできるようになれば収益が上がり、翻訳会社と翻訳者との間で価格でも品質面でもWin-Win の関係が築けるのではないか。

高橋氏:品質の向上には仕事のノウハウを交換して効率化することも一つだが、仕事の発注の仕方も重要。翻訳は文字の羅列ではなく、中身のあるものだという意識を持って欲しい。翻訳者に品質向上を求めるのであれば、関連技術の論文や過去訳などの資料を出してほしい。翻訳会社はクライアントともっとコミュニケーションをとって頂けるとありがたい。

司会:翻訳業界全体として、価格面の見通しはどうでしょうか?

並木氏:会社としては大量の文書を一人の翻訳者に発注することはあり得ない。そこで平均的な品質を上げられる翻訳者数名に頼むことになる。品質が平均であれば価格はどちらかといえば下がる方向に向かってしまう。製品の売上が上がれば翻訳料も上げられるが、今の経済状況では上げる方向には向かわない。

村田氏:品質を最重要視している。クライアントからも機密情報も含めて資料を提供することで、より品質の高い翻訳を翻訳者から引き出すことができる。こちらも努力していかなければならない。

司会:翻訳業界の将来の展望をお聞かせ下さい。

田中氏:機械翻訳が進み、またアウトソーシングが進むと考えられるが、人間が翻訳しなければならない分野は必ず残る。翻訳者としてはそのような分野で必ず指名されるよう自己研鑽していきたい。

高橋:翻訳という仕事のおもしろさ、大切さなど、翻訳という職業を次世代に引き継いでいくことが必要だと思う。

浜口宗武氏

浜口宗武氏

並木英之氏、 村田尚之氏、 二宮俊一郎氏

左から:並木英之氏、 村田尚之氏、 二宮俊一郎氏

沼澤昭仁氏、 高橋さきの氏、 田中千鶴香氏

左から:沼澤昭仁氏、 高橋さきの氏、 田中千鶴香氏

パネルディスカッション風景 パネルディスカッション風景

会場風景

【交流パーティー】

東 郁男(ひがし・いくお)氏●JTF会長挨拶
   東 郁男(ひがし・いくお)氏 

パネルディスカッションの中でWin-Win の関係を作るという話が出ましたが、某大手自動車会社での品質管理、「改善」というものがありますが、子会社、孫会社の品質管理は、押しつけるだけではなく社員を派遣して一緒に生産効率をあげていくということをやっています。これも一つのWin-Win 関係の作り方だと思います。翻訳業界も生産効率を上げることでキャパも増えていきますし、眠っている需要をもっと引き起こせると思っています。景気は厳しいですが、やり方次第ではこの業界ももっと発展していけると思っています。今後とも皆様方のご協力をよろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。

 

竹本 林官氏●来賓挨拶
   竹本 林官(たけもと・しげのり)氏
   経済産業省 商務情報政策局 サービス産業課 課長補佐

企業の国際競争やグローバル化が進展する中において、産業翻訳に対するニーズは、工業、医薬のほか、知財、特許、法務、金融などあらゆる分野に存在します。また、今後も無限の可能性があると考えています。他方、今日のパネルディスカッションを拝聴いたしましたが、クライアント、翻訳会社、翻訳者という三者間をめぐる新の共生の在り方、互いに信頼できるような関係の構築が一つの課題として挙げられたのをお聞きして、私自身も大きな課題だと感じました。三者間の関係を構築し、忌憚のない意見を交換できる場というのが、まさにこの翻訳祭なのではないかと思っております。業界関係の皆様のさらなるご活躍を期待いたします。

第48・49回JTFほんやく検定1級合格者表彰式 ※第48回:2008年2月実施 第49回:2008年7月実施

●祝辞
植田 忠志(うえだ・ただし)氏
ほんやく検定委員長、JTF理事

1級合格者の皆様、おめでとうございます。第49回検定の1級合格率は、英日翻訳が4.3%、日英翻訳が3.9%でした。JTFの検定は、実際的な実務能力を評価するもので、翻訳という商品として通用するのかという点を重視しています。翻訳会社の方々には、合格者に仕事のチャンスを与えていただきますようお願いいたします。また、合格者の皆様が存分に活躍をされることをお祈りいたします。

●1級合格者の方々

写真右下:荒川眞規氏 代表スピーチ

●謝辞
加賀美 道子(かがみ・みちこ)氏
翻訳祭企画実行委員長、JTF理事

翻訳祭は成功のうちに終了いたしました。本日は、大勢の方々に講演、ご参加をいただき、本当にありがとうございました。また、この成功は、東JTF 会長はじめ、支えていただいた裏方の方々のご協力なしには成し得ないものでありました。心よりお礼を申し上げたいと思います。皆様には、これからもJTF および翻訳業界の発展のためにご協力いただきたくお願い申し上げます。

●乾杯挨拶
井口 耕二(いのくち・こうじ)氏
JTF常務理事

ほんやく検定1級合格者表彰式

ほんやく検定1級合格者表彰式ほんやく検定1級合格者表彰式ほんやく検定1級合格者表彰式ほんやく検定1級合格者表彰式

交流パーティーの歓談風景

●閉会挨拶
野上 員生(のがみ・かずお)氏
JTF副会長

交流パーティーの歓談風景交流パーティーの歓談風景交流パーティーの歓談風景
交流パーティーの歓談風景交流パーティーの歓談風景交流パーティーの歓談風景

【翻訳プラザ】

展示・デモコーナー 出展企業(50音順)
翻訳ソフト、辞書、CD-ROM、PC等の展示・デモ

書籍・翻訳相談コーナー 出展企業(50音順)
書籍の販売、翻訳会社・翻訳学校の担当者との相談コーナー

報告者:早舩 由紀見(個人翻訳者)

⇒翻訳祭のセッション内容はDVDで受講できます

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