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JTF翻訳セミナー(東京) JTF関西セミナー(大阪)

翻訳セミナー情報 JTF翻訳セミナー(東京) セミナー受講ご希望の皆様へ

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2010年のJTF翻訳セミナー活動報告

第10回
開催日 2011年3月10日 セミナー: 14:00 〜 16:40 懇親会: 17:15 〜 19:30 [希望者のみ]
テーマ 「ネイティブ校正者から見た『洗練された翻訳原稿』を納品するポイント」
講演者 ジャネット・カドラス(Janet Quadras)氏
カクタス・コミュニケーションズ株式会社 英文校正者
概要 翻訳ビジネスで成功するための最善手段は、高品質なサービスを継続的に提供し顧客を満足させることである。本研究会では、英文チェック専門家の目線からどのように和文英訳された文書を、翻訳者自身が磨き上げるかのアドバイスを行う。
(以下トピック一覧)
1、英文ライティング時の決まりごと
2、定冠詞、不定冠詞の使い方
3、数字や単位の表記方法
4、文章表現統一性の重要さ
5、文法・句読点・スペルなどの簡易チェック方法
また上記以外に日本人が使う、欧米文化で誤って解釈される可能性のある語彙・語法についても言及する。講義は具体例を交えながら展開し、参加者からの具体的なライティングに関する質問などについても積極的に受け付ける。
(英語による講義となるが、通訳によるサポートもあり)

講演のポイント:
◎どのように原稿全体を統一していくか
◎MSワードツールの有効活用方法
◎あまり知られていないライティングの決まりごと
◎より洗練された英文にするには
◎英数字や単位の表記方法
◎効果的なスペルチェック
◎日本人にありがちな間違いとは

【対 象】
○在宅チェッカーの方
○日英翻訳者の方
○翻訳会社の方(品質管理部門・チェッカーの方)

⇒本セミナーの講演は、DVDで受講できます

【講師略歴】
カクタス・コミュニケーションズが展開する英文校正部門エディテージの社内トレーニング部署の一員として、数多くの研修プログラムを作成・運営してきた。英文校正者としても、日本人が執筆した800本以上の英文原稿の校正を経験し、BELS(Board of Editors in the Life Sciences )認定もされている。現在はCRM部に所属しており、顧客からのフィードバックを基に社内サービスの改善や、細かいニーズの把握・社内共有を行っている。

2010年度 第10回JTF翻訳セミナー報告

 英文ライティングに自信を持っている人は少ないだろう。ましてや専門分野の研究をしながらその成果を英文で確実に伝えるのは難しく、多くの日本の研究者がその手法について悩んでいることでもある。ジャネット・カドラス氏は日本人が書いた英語論文を数多く校正してきた。本研究会では、カドラス氏が経験の中で散見した、日本人の英文に多い間違えや、日本人があまり意識していないライティングにおける決まり事、イギリス英語と米語でのスタイルの違いなど、著者が気づけばもっと良い英文になるというヒントを具体的に語った。

1.書き方のコツと慣習
 日本人が英文ライティングにおいて誤解しやすい文法や書式について解説する。

Which とThat の違い
The cake, which Jane had baked, tasted delicious.
The cake that Jane had baked tasted delicious.
 この違いは、非制限用法と制限用法の違いだが、「ケーキがおいしい」ということが重要な情報である場合は、前者の非制限用法を使う。非制限用法では、that を使えないのでwhich を使う。「Jane が焼いた」と、¥ケーキがおいしかった」ことの両方が重要情報である場合は後者を使う。どちらを使うかは執筆者が決めることである。制限用法を使う場合にwhich を使うことは文法上は問題ないが、読者が混乱するのでthat を使うようにした方が良い。非制限用法でthat を使うことは通常ない。

コロンとセミコロン
 セミコロンは2つの別々の事柄が深く関連し合っている場合に使う。
Daddy goes to the office; Mummy looks after the baby.
She spent much of her free time immersed in the ocean; no mere water-resistant watch would do.
 これらの文章はいずれもコンマと接続詞を使い次のように書くこともできる。
Daddy goes to the office, and Mummy looks after the baby.
She spent much of her free time immersed in the ocean, so no mere water-resistant watch would do.
 コロンは文法的に完結した文章の最後につけて、いくつかのまとまった要素を取り込むのに使う。
The watch came with a choice of three bands: stainless steel, plastic, or leather.
The method is as follows: cut the vegetables, boil them in water, and add salt to taste.
 文法的に不完全な文章の後にはつけないので気を付ける。
 誤:The method is:

大文字の使用
 単語の先頭文字を大文字にするのは、特殊な文脈の場合。また大文字でも小文字でも使用できるものもあるが、その場合は一貫性を持たせる。
Microsoft Windows98 released in Jun 1998.
AM or a.m. など。

イギリス英語とアメリカ英語の違い
 以下の各項目では、イギリス英語(英)とアメリカ英語(米)で異なるので、どちらかに統一する。
・略語のピリオドの使い方(Mr, Mrs, Dr(英)、Mr. Mrs. Dr.(米))
・引用符(Mr Laine said, ‘I would like to visit Tokyo next year.’(英)、Mr. Laine said, “I would like to visit Tokyo next year.”(米))
・スペル(colour、realise、anaesthesia(英)、color、realize、anesthesia(米))
・敬称(Dear Mr Johnson,(英)、Dear Mr. Johnson(: 米))
・連続コンマ(My hobbies are reading, writing and watching TV(. 英)、My hobbies are reading, writing, and watching TV(. 米))
・日付(26 July 2005(英)、July 26, 2005(米))

数の表現
 通常、1から9まではスペルアウトし、10以上は数詞で表現する。ただし、文頭の数字はスペルアウトする。数式の記号の前後、数詞と単位の間には半角スペースを入れる。

偏りのない言語表現
 人を不快にさせたり偏見を与えるような単語やフレーズの使用を避ける。
Avoid: Demented people, Better: People with dementia
Avoid: he, mankind, chairman, Better: they, humankind, chairperson
Avoid: Negro, Eskimo, Oriental, Better: African American, Inuit, Asian

その他のコツ・慣習
・略語や頭字語は、初めて言及する際には正式名称を書く
・複合形容詞は間に必ずハイフンを入れる(5-feet-high wall, middle-aged man など)

2.Proofreading
 Proofreading とは、誤字やスペルミス・句読法や文法上の誤りを発見し、修正するために文章を丁寧に精査すること。Proofreading を行うときには、チェックリスト、スペルチェック機能、検索機能、および辞書を道具として使用する。
 チェックリストは、数字と単位、略語の適切性、引用符の使用の統一、インデント、大文字、小文字表記、フォントなどについて細かく定めたもの。
 スペルチェックは、MS Word の機能であるが、様々な設定があるのでこれを利用する。MS Word 英語版では、様々な英文スタイルの設定が可能であり、最大限利用する。ただし、スペルチェックが常に正しいとは限らないので、過信しない。
 検索機能は、誤字を見つけたり、文書内での用語の一貫性のチェック、書式のエラーなどを見つけることができる。
 辞書は、Merriam-Webste(r 米語)、Oxford(イギリス英語)、Oxford Collocations dictionary(コロケーション辞書)、などを使用する。これらはすべてインターネット上のものを利用できる。
 Proofreading を行う際には、文書全体を前から読み、後ろから読み、最後に声に出して読む。

 本研究会の講義は英語で行われたが、所々で入るカクタス社の湯浅氏の説明がわかりやすく私の錆びついたリスニング力を補ってくれた。会場に詰めかけた、本翻訳環境研究会開始以来最多の聴講者達は英語での講義を自然に受け止め、英語による活発な質疑応答が行われた。本年度最後を締めくくるにふさわしい研究会であった。

報告者:早舩 由紀見(個人翻訳者)


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