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JTF翻訳セミナー(東京) JTF関西セミナー(大阪)

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2010年のJTF翻訳セミナー活動報告

第6回
開催日 2010年10月14日 セミナー: 14:00 〜 16:40 懇親会: 17:15 〜 19:30 [希望者のみ]
テーマ 「ウェブを活用した翻訳需要の開拓〜クラウド時代の翻訳ビジネスモデルを語る〜」
講演者 古谷 祐一(ふるや・ゆういち)氏
GMOスピード翻訳株式会社 常務取締役
概要 当連盟が2008年に発表した『第3回翻訳白書』では国内の翻訳市場規模は推定2,000億円、ここ数年で大きな成長率は見えない。一方、調査会社のCommon Sense Advisoryが発表した世界の言語サービス市場は2008年で142.5 億ドル、2013年には250億ドルに到達と予測。単純に比較しても、成長率の高いBRICsを中心とした諸外国は確実に産業が成長していることが伺える。市場規模が育たない場合、一般論で言えば、プロダクトライフサイクルの成熟期という考え方があるが、島国日本において翻訳産業に寿命があるとは考えにくい。観光立国の早期実現、中国人観光客の増加、ヤフーと淘宝(タオバオ)の提携によるグローバルマーケットプレイスの台頭など、今の国内の翻訳ビジネスに必要なのは既存市場の外側にいる潜在顧客のニーズに応えるビジネスモデルではないだろうか。
当セミナーでは、24時間365日ネット経由で『見積り〜納品』のプロセスを自動化、最短30分で納品を可能にしたスピード翻訳サービスを紹介しながら、クラウド時代の翻訳ビジネスモデルについて語る。また、同サービスで現在活躍中の翻訳者である印田知実氏をゲストに招き、ネット経由で自ら仕事を取りに行くことが可能な同社の翻訳プラットフォームについて、実際の案件や事例を紹介しながら説明する。

◎ 世界と日本の翻訳市場における現状について
◎ 人口縮小の国内で勝つためのKSF(キーサクセスファクター)とは?
  *ポジショニングマップから自社の優位性を検証する
  *GMOスピード翻訳のブルーオーシャン戦略
◎ 新しい需要を開拓するための2つの課題と戦略
  *既存マーケットの拡張=機密保持に関する課題
  *ウェブを活用した新規需要の開拓
◎ 24時間365日、ノンストップで翻訳を提供するスピード翻訳サービス
◎ GMOスピード翻訳が考える新しい翻訳ビジネスモデルと戦略
◎ 翻訳業界におけるスピード翻訳サービスの役割、ポジション
◎ 世界で起きているクラウドソーシング型翻訳サービスの実例
◎ 他業界に見るクラウドコンピューティングの実例
◎ クラウド時代に必要な翻訳サービスのビジネスモデルとは

【対 象】
○フリーランス翻訳者の方
○翻訳会社の経営幹部・営業の方

⇒本セミナーの講演は、DVDで受講できます

【講師略歴】
東証1部上場企業のGMOインターネットのグループ企業として2007年3月に設立されたGlobal Web株式会社(現:GMOスピード翻訳株式会社)の代表取締役社長に就任。
現在は常務取締役として事業を統括。新たな翻訳需要の開拓に向け、国内ほとんどの大手ポータルサイト(@niftyOCNSo-netlivedoor楽天infoseek等)との提携を実現させる。
最近では、アリババマーケティングと業務提携をし、アリババの国際取引サポートにオンライン翻訳サービスのプラットフォームを提供。GMOホームページ大学、宅建協会のIT活用セミナー等でも講演。

2010年度 第6回JTF翻訳セミナー報告

 2008年の日本の翻訳市場規模は約2000億円。このところ目立った成長はない。しかし、クラウド時代ならではの方法で顧客を開拓することで、業界の成長を実現することは可能であると、古谷氏は語る。以下に氏の講演の概要をまとめた。

○新たに生まれている翻訳需要
 成長が見えない日本の翻訳市場で、どのようにすれば勝ち残れるのか。それを考えるためにはまず自社の業界におけるポジションを知る必要がある。
 たとえば、「高価格−低価格」「専門分野が得意−不得意」の2軸でマトリックスをつくり、自社がどこに位置するかを考えてみる。すると、日本の翻訳会社の多くが、「高価格」かつ「専門分野が得意」というポジションに位置していることがわかる。【書記注:研究会会場で、出席した翻訳会社の方々に、自社のポジションを匿名で記入してもらったところ、実際にそのポジションに企業が集中した。】
 逆に言うと、それ以外のポジションはガラ空きということになる。しかし、そのガラ空きのポジションにこそ新たな需要が生まれている。
 新たに生まれている需要の一つは、グローバル・マーケットプレイスにおける短文の翻訳需要だ。この先人口が縮小に向かう日本では、中小企業も海外の市場を開拓する必要がある。少ない初期投資で海外展開できるのがE コマースで、そのために必要となるのが、商品説明や取引のメールなど、比較的短い文章の翻訳である。また別の需要としては、ブログやツイッターなど、個人的なメディアの翻訳需要がある。
 こうした翻訳はそれほど専門性も高くなく、個人や中小企業が顧客となるため、あまり高額だと翻訳の依頼は来ない。しかしある程度の品質は求められ、グローバル市場に対応するために24時間対応の受注−納品が必要となる。
 前述したように、こうした需要に応えられるポジションをとっている企業はほとんどない。まさに業界内の「ブルーオーシャン(競合が存在しない市場)」だといえる。そして、GMOスピード翻訳が開拓しているのも、このブルーオーシャンなのである。

○需要開拓のためのウェブ戦略
 当社は、この市場を開拓するために、インターネット上で事業を展開している。個人や中小企業などの顧客がウェブサイトを通して発注し、登録翻訳者が責任をもって納品する(第三者によるチェックや編集は行わない)。24時間、365日、インターネットを経由して受注から納品までを自動化することで、最短30分納品、2100円からという低価格を実現した。
 実際にこの事業を始めたところ、「ラブレターなどの個人的な手紙、ビジネスレター、論文など、実に様々な内容の依頼が来る。圧倒的に和文英訳が多い」(ゲストとして登壇した、登録翻訳者・印田知実さんのコメント)。従来、翻訳会社が対象としていなかった需要が、確かに存在していることが証明されたと言える。

○既存の翻訳マーケットから拡大する
 そして、もう一つ、新たに開拓できる市場がある。それは既存の翻訳マーケットの延長線上に存在する部分である。
 情報の機密性を非常に重視する大手優良企業は、そもそも情報資源を外注に出す(翻訳会社に依頼する)ということに対しての抵抗感がある。そこで、自社グループ内に派遣会社や翻訳会社を抱え、情報を外に出すことなく翻訳を行うのである。こうした内製化された翻訳需要を、翻訳会社は開拓できるのではないだろうか。
 情報の機密性に敏感な企業は、翻訳会社がISO やプライバシーマークを取得しても満足しない。だが、非常に高度な情報管理・機密性保持の技術があれば話は変わって来るはずだ。
 この点について、クラウドコンピューティングの時代は追い風となる。クラウドコンピューティングでは、機密性保持のための技術が培われていく。それを活用することで、いまは翻訳会社に発注されていない優良企業からの注文を獲得できるのではないだろうか。

 翻訳市場の底辺にある需要と、トップにある需要、この二つを開拓していくことで、翻訳業界を成長させ、盛り上げていける可能性がある。

報告:東方 雅美(個人翻訳者)


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