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JTF翻訳セミナー(東京) JTF関西セミナー(大阪)

翻訳セミナー情報 JTF翻訳セミナー(東京) セミナー受講ご希望の皆様へ

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2010年のJTF翻訳セミナー活動報告

第3回
開催日 2010年7月8日 セミナー: 14:00 〜 16:40 懇親会: 17:15 〜 19:30 [希望者のみ]
テーマ 「医薬翻訳の将来性と仕事受注のための方策」
講演者 今 栄子(こん・えいこ)氏
株式会社アイ・シー・オー 代表取締役
概要 事業の命運を左右するいくつかの要素のひとつに「仕入れ」がある。医薬翻訳業で言えば、「仕入れ」とは翻訳者あるいはメディカルライターを意味する。ICOでは、特に近年、優秀な翻訳者・メディカルライターを養成・確保することに力を傾注してきた。その成果を開示しつつ、いまだ未解決の問題点についても腹蔵なく参加者の方々に示して、安定的に翻訳・ライティング業務を受注する方策について提案する。

◎ なぜ、医薬翻訳はこれからますます需要が増大するのか?
◎ どうしたら医薬翻訳者になれるのか?
◎ 文系出身者が「売れっ子医薬翻訳者」に変身したいくつかの実例
◎ 医薬翻訳分野にあるガラ空きの陣地
◎ 医薬英語のノーハウは稼げる技術だ
◎ 医薬英語の習得による可能性は、医薬翻訳者だけではない
◎ 医薬英語習得から派生する全く新たな職種とは?

【対 象】
○医薬翻訳者を目指している方
○すでに実務翻訳者として活動しているが、医薬分野に移りたい、あるいは、医薬翻訳も取り扱いたいと考えている方
○医薬翻訳者として活動しているものの、仕事の受注量が少なくて悩んでいる方
○医薬分野への新規参入を検討中の翻訳会社の方

【講師略歴】
大学卒業後、産業翻訳に従事。その後、1984年、製薬企業を主な顧客とする(株)アイ・シー・オーを設立、代表取締役に就任。
医薬品開発に係わる翻訳業務に従事してのち、薬事申請関連資料作成業務および医薬品開発関連コンサルテーション業務を展開。
また、3年ほど前から、教育事業に進出し、長年にわたって培ってきた医薬品開発英語のノーハウを製薬企業内部でのセミナーにて披瀝している。加えて、医薬系翻訳者の発掘を意図し、「医薬医療系翻訳者養成通信講座」3コースを現在、運用中。さらに、医薬品開発英語に係わる出版物の企画も行っている。
会社の理念は、「医薬英語のノーハウと英知を後の世代に継承すること」。
著書に、「ヒトゲノムの光と影」(裳華房刊、ペンネーム:佐伯洋子)、「幹細胞に賭ける」(中央公論事業出版、ペンネーム:佐伯洋子)、「クローン羊ドリーの父・ウィルムット博士の悩み」(月刊中央公論2003年8月号)などがある。

2010年度 第3回JTF翻訳セミナー報告

 昨年の不況以来、不況知らずとして注目を集めている医薬翻訳業界では、現在優秀な翻訳者が不足している状態だという。内容が非常に専門的なので、素人には参入しにくい分野であるのはわかるが、医薬業界に精通していると思われる製薬会社出身者でも、仕事内容によっては翻訳にほとんど役立たないこともある。設立20年になる株式会社アイ・シー・オーでは、現在翻訳者の育成に力を入れている。社長であるKON 氏が、医薬翻訳業界で翻訳者が不足している現状と、優秀な翻訳者になるにはどうすればよいのかを語った。

 翻訳会社の資産は、翻訳者である。これまで20年以上にわたりトライアルを実施してきた。しかし、トライアルでは優秀な翻訳者はほとんど見つけられない。まず、専門用語をきちんと理解しないで訳している人が非常に多い。医薬翻訳業界の内情を知らずにトライアルを受けているのだろう。医薬翻訳というと非常に幅広いが、この中でも特にニーズが高いのは医薬品開発関連のドキュメントの翻訳である。医薬品開発関連ドキュメントは、Regulatory Science(規制科学)であり、"Regulatory Dossiers"と呼ばれている。バックボーンとして、医薬品開発に付随するRegulation(規制)を意識する必要がある。医薬翻訳者は必ず、また医薬翻訳を志すのであれば、手元にICH ガイドラインを置いてほしい。ICH とは、International
Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration
of Pharmaceuticals for Human Use(日米EU 医薬品規制調和国際会議)の略語で、日本、米国、EU 各国で新薬承認審査の基準を統一するための基準を作成している団体で、医薬品規制当局(日本の場合は厚生労働省)と産業界代表で構成されている。このガイドラインの中でも特に、E3、E6、M1、M4、E8を理解していると良い。理想はこの内容をしっかり理解して、新薬申請の流れを掴み、翻訳言語の国で新たに新薬を申請する、という意識を持って翻訳することである。

 翻訳者が不足しているこの業界でも、特に不足しているのは英訳者である。これは、臨床、非臨床、品質、薬事行政すべての分野にわたって共通している。日本人で良い品質の英訳をこなせる翻訳者は20人いるかどうかという程度である。また、和訳では、CMC と呼ばれる、新薬開発時に行う薬物の物理化学的性質の検査や、カプセルや錠剤などでの安定性を試験するプロセスがある。CMC に精通している翻訳者は非常に少ないため、経験者や科学の素養のある方はこの分野に特化した翻訳者を目指すと重宝されるだろう。
 これから医薬翻訳者になる方、あるいは駆け出しの方の勉強方法としてお勧めできるのは、対訳のあるウェブサイトを利用した方法である。和・英両国語がある製薬会社のニュースリリースを、用語や表現法に注意しながら翻訳者になったつもりで読み、翻訳してみると良い。訳文が載っているので、自分の訳と照らし合わせてチェックできる。ここから用語集を作成することもできるし、医薬領域の日本語、英語の用語や言い回しになれることができる。また、これらを音読すると理解が深まることもあるので是非やってみてほしい。
 私自身も文系出身ながら、産業翻訳者としてデビューしてから医薬翻訳に出会い夢中になった。非常におもしろい分野であり、奥が深い。お金をもらいながら日々勉強させてもらい、なんて良い仕事だろうと思ってきた。文系出身でも必要な知識を身につけることで充分やっていける分野であるので、ぜひ目指してほしい。お客様を感動させる翻訳を提供するのが、弊社の使命である。そのためにぜひ力を貸してほしいと思っている。

 会場を埋め尽くした80名以上の受講者の中には、医薬翻訳者、医薬翻訳を目指している卵達もたくさんいて、熱心に耳を傾けていた。KON 氏の翻訳者育成への熱意に応えたいと思っている翻訳者はたくさんいるだろう。クレームの来ない翻訳ではなく、感動したと言ってもらえる翻訳者を目指してがんばってほしい。

報告者:早舩 由紀見(個人翻訳者)


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