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JTF翻訳セミナー(東京) JTF関西セミナー(大阪)

翻訳セミナー情報 JTF翻訳セミナー(東京) セミナー受講ご希望の皆様へ

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2010年のJTF翻訳セミナー活動報告

第1回
開催日 2010年5月13日 セミナー: 14:00 〜 16:40 懇親会: 17:15 〜 19:15 [希望者のみ]
テーマ 「金融分野日英翻訳 - 農林中金総合研究所の金融論文英訳、The Nikkei Weekly英文記事を日英翻訳に生かす」
講演者 佐藤 晶子(さとう・あきこ)氏
 金融翻訳者、JTF理事
冨永 信太郎(とみなが・しんたろう)氏
 異文化経営コンサルタント
概要 世界的な不景気の煽りを受け、金融分野の翻訳は特に受注減少の影響が大きいと言われている。
第一部では、農林中金総合研究所発行『経済金融ハンドブック‐金利の動きを読む』の中から、主事研究員 田口さつき氏の金融論文を課題とし、佐藤晶子氏が参加者とともに英訳を検討する。

第二部では、異文化経営コンサルタントである冨永信太郎氏が、The Nikkei Weeklyの英文記事を日英翻訳に有効に活用する方法を伝授する。また、同氏が日頃から実践している「翻訳を超えた」仕事を基に、内外出張で得た知見や情報を披露し、その醍醐味と楽しさを語る。

【対 象】
○金融翻訳者の方(フリーランス・社内)
○金融分野を取り扱う翻訳会社の方

⇒本研究会の講義内容をDVDで受講できます

【講師略歴】
●佐藤 晶子(さとう・あきこ)氏、金融翻訳者、JTF理事:
北海道大学経済学部卒業。外国為替専門銀行勤務後、英会話講師を経て、現在、在宅/社内翻訳・通訳・英語講師業務に携わる。大阪大学大学院博士後期課程の院生として米国の産学官連携について研究中。JTF理事。

●冨永 信太郎(とみなが・しんたろう)氏、異文化経営コンサルタント:
長崎県立大学経済学部経済学科卒業、国連英検特A級、異文化経営コンサルタント、JTF個人会員、ファンワークス(株)顧問・主任ビジネス英語講師、朝日インテック(株)海外事業顧問、The Nikkei Weeklyの国際ビジネス活用講師、Nikkei.com代理店、
Pyramid ODI認定企業研修講師/Regional Vice President、Thessen for Humanity (コペンハーゲンに本部があるNGO)公認Goodwill Ambassador。

2010年度 第1回JTF翻訳セミナー報告

 金融翻訳業界は、不景気の煽りを受け受注減少の影響が特に大きい分野と言われている。第一部では、金融翻訳者である佐藤氏が、金融英訳の手法をわかりやすく説明し、第二部では、契約書翻訳を専門とし、異文化をキーワードに幅広く活躍されている冨永氏が、翻訳を超える仕事とは何かについて語った。

第一部 金融分野 日英翻訳
 実務翻訳はサービス業として捉えられる。金融分野の日英翻訳を行う場合、まず原文全体を読み、何が書かれているかを理解し、顧客である原文作成者の思想や意図を把握する。次にその文書で使われている専門用語を調べる。例えば、今回の課題のタイトルである「個人消費」を英訳する場合、Google 検索で、[site:go.jp 個人消費consumption filetype:pdf] と入力して検索する。個人消費の「消費」の訳はおそらくconsumption でfix できるとの予測の元、これらの両単語(個人消費とconsumption) と、日本の政府関連のpdf 資料の中からよく使われている訳を検索するために、site: の後に日本政府のドメインであるgo.jp とfiletype:pdf を入力する。検索の結果、検索抄録リストの中に、personal consumption という訳語が複数散見される。
 今度は、personal consumption を逆検索して、英文の金融文書でも個人消費の意味でこの言葉が使われていることを詳細に確認して裏付けを取る。たとえば、今回の課題文は論文のため、米国の大学関係者が執筆する論文のpdf ファイルで裏付けを取る場合、Google 検索で[site:edu.personal consumption filetype:pdf] と入力して検索する。この裏付けが取れたら訳語として採用する。
 用語の取り違いから原文作成者の意図から離れた翻訳にならぬよう、上記のような過程で作業を進めるとよい。翻訳者としてのリスク管理ともいえる。リスク管理をしっかりと行い、原文作成者の思想を汲みとった英文に仕上げる努力を続け顧客からの信頼を得ることが継続受注につながる。

第二部 翻訳を超える仕事
 例えば、e-mail の英訳は、単なる日本語から英語への置き換えではすまないことが多い。メールというのはコミュニケーションのツールであるため、行間には喜びや悲しみ、怒り、感謝、失望などの感情が含まれていることが多い。原文からそれらを読み取り、翻訳するときに原文にはない一言を加えることで、相手とのその後のコミュニケーションがスムーズに進行する場合も多い。これは、一例ではあるが、翻訳を超える仕事といえる。
 また、録音された電話会議を英訳するという仕事も行っているが、これも翻訳を超える仕事である。一通り会話を聞いて内容を理解した上で、英語の構造で文章を作るという作業をしている。日本語には英語に訳しにくい言葉が多いが、それらもきちんと説明する。例えば、最近のビジネス用語に「現場力」という言葉があるが、これを訳す場合、現場力の意味である、「現場にいる人たちが協働し、より良い結果を出そうとすること。不可分な対人関係的能力を要する」という内容を漏らさず伝える。
 日英翻訳を行う際に活用できるツールとして、The Nikkei Weekly という英字新聞がある。日本の政治・経済・経営・金融・技術情報および国際情報が網羅され、日本特有の言葉が巧みに英訳されている。例えば、「終身雇用」という言葉は文章化された規則ではなく、習慣的なものであり、しかも雇用者側もこの暗黙の規則を簡単に無視することができない。社会的に拘束力のある暗黙の契約である。これを"implicit social contract of lifelong employment" と訳しており、非常に参考になる。
 翻訳から一歩踏み出し、国際業務に目を向け仕事を獲得するには、IT ツールの活用は必須である。これからはIT ではなく、ICT(Information and Communications Technology) を活用する必要があるだろう。Skype、Blog、Twitter、YouTube の他、LinkedIn、MySpace、Facebook などのSNM(Social Networking Media) を活用し、自ら英語で情報発信し、世界中のクライアントからアクセス可能な状況を作ることをお勧めする。

 視野を広げて世界を見ることで、単なる翻訳に留まらない仕事があるということに気付かされた。仕事が来ないと嘆く前に、自分から探しに行かなければならないのだと活を入れられた講演会であった。

報告者:早舩 由紀見(個人翻訳者)


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