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JTF翻訳セミナー(東京) JTF関西セミナー(大阪)

翻訳セミナー情報 JTF翻訳セミナー(東京) セミナー受講ご希望の皆様へ

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2008年のJTF翻訳セミナー活動報告

第2回
開催日 2008年7月10日 セミナー: 14:00 〜 16:40 懇親会: 17:30 〜 19:30 [希望者のみ]
テーマ 「いつまでもアマと思うなよ
〜金融翻訳者が語る自立するための心がけと具体的な方法〜」
講演者 鈴木 立哉氏
金融翻訳者
概要 経験、仕事、人脈ゼロで専業翻訳者となってから6年半。半年後に「行ける」と感じ、1年で仕事が途切れなくなり、1年半でキャッシュフローがプラスに転じ、そして今は一部作業を外部に依頼している。尊敬する先輩のお勧めもあり、業務日誌、業務用メモ、自己啓発ノートを元に「毎日が週末気分」だったこれまでの日々をいったん整理してみることにした。かつて自分が知りたかったものの他人には尋ねにくかったことをすべて本音で話す。「べき論」は語らない。事実と感想と反省と、そして小さな「夢」を受講者の皆さんと共有できればと思っています。

【対象】
○若手(経験5年未満程度)翻訳者の方
○脱サラ、独立を真剣に考えている翻訳(志望)者の方

⇒本研究会の講義内容をDVDで受講できます

【講師略歴】
野村證券に14年間勤務。その間個人営業、研修、クオンツ、シンジケート、営業企画の各部門を経験。その後外資系証券引受部を経て2002年9月に専業翻訳者として独立。金融関連7割、ライセンス契約書(英和)で2割、上記分野の和英1割が基本業務ポートフォリオ。

訳書に『成長への賭け』(ファーストプレス)『ITの本質』(ダイヤモンド社)、共訳書に『民主化するイノベーションの時代』『デルタモデル』(ファーストプレ ス)『ソフトウエア企業の競争戦略』(ダイヤモンド社)など。なお、共訳書『Xチーム――分散型リーダーシップの実践』(ファーストプレス)を刊行予定(8月1日)。1984年一橋大学社会学部卒業。米国コロンビア大学MBA(金融/会計専攻)。

2008年度 第2回JTF翻訳セミナー報告

 鈴木氏はフリーの金融翻訳者である。サラリーマンを辞めて英語の仕事で独立したいと思い始めてから、準備し、会社を辞め、数ある選択肢の中からフリー翻訳者を選び、試行錯誤しながら現在に至った経緯を、すべて自分で管理する業務日誌に書き込んでいた。その日誌の内容を元に、「好き」を仕事にすること、どうやって仕事を得るか、どのような心構えが必要かなど、これから同じような道を歩こうとしている未来のフリー翻訳者に向けて、自身の経験を語った。

「好き」を仕事にするとは?
 学校を卒業して何年も経過し、会社でそれなりの立場で忙しく働き、さらに養うべき家族がいた上でそれでも敢えて「好き」を仕事にするにはそれなりの覚悟が必要。撤退時期を決め、撤退後の目処(就職口のあて等)を付けておくのが家族に対する最低限の責任だと思う。さらに、鈴木氏は独立後3年間収入が無くても困らない額の貯蓄をし、撤退の見極め時期を1年と決め、その場合の就職口の目処をつけて退職に踏み切ったという。
 独立後、収入に対する不安は大きかったものの「毎日が週末」気分で、精神的なフラストレーションは全くなくなった。好きな翻訳はいくらやっても(精神的には)疲れない。仕事と遊びの区別がつかなくなる、という状況になった。
 翻訳が「好き」で、それを仕事にしたいという若い人に対しては、次の2つの質問に躊躇なく「はい」と答えられれば、きっと向いているよ、と答えることにしている。たった1年でいい、「翻訳をすべての生活の最優先にできるか?」そして「1年365日毎日翻訳した後に、『ああ楽しい 1年だった』と心の底から言えるか?」

仕事を得るには?
 仕事を取ろうと思ったら翻訳会社のトライアルを片っ端から受けまくり、トライアルを受けさせてもらう。名付けて「下手な鉄砲数打ちゃあたる」方式。コネはなるべく利用しない。なぜなら、実力もないのにコネで仕事を得て失敗すると紹介してくれた人の顔に泥を塗ることになるから。
 翻訳会社の応募条件には、経験3年以上と書かれているものが少なくないが、それをまともに受けていたのでは新人には応募先が見つからない。そこで、経験3年以上と書かれていても、熱意を伝えて応募してみると、トライアルを受けさせてくれる会社が必ずあるので決してあきらめないこと。
 また、トライアルに合格しても、1社だけではいつ仕事が来るかもわからないし、運良くすぐに仕事が来たとしても、その後も継続的に受注できるとは限らない。翻訳会社には複数登録しておいた方が良い。鈴木氏自身は、毎月請求書を送る先を最低5社は確保し、これを下回りそうになったら、新たに登録翻訳会社を増やす努力をしている。

金融翻訳者の旨みと苦味
 ファンドの運用レポートや会計情報等では、市場の動きを抑える必要があるが、NY、東京などの主要市場を抑えれば良い。マクロ情報は、日経新聞、WSJ(Wall Street Journal)、FT(Financial Times) の3紙でほぼ足りる。また、金融関係の文書はパターンが決まっているので、ある程度慣れてしまえば翻訳しやすいという旨みもある。
 一方、上場企業の情報や政府の動向は公開情報なので間違えると大恥をかく。したがって過去の事実や現在の状況は丁寧に、時間をかけて裏付けを取らなければならない点が意外と厳しい。

翻訳者としての心構え
 翻訳者はボキャブラリーを広げ、自分の訳文の癖を見直し、英文読解力を付けるためにも、常に勉強を怠れない。「読めていない」のは専門知識がないからではなく英語力がないからだ、という可能性を忘れるべきではないと思う。

 鈴木氏の力強く人を引き込ませる語り口に、聴講者はみな熱心に耳を傾けていた。また、実際に業務日誌や、英語の勉強に役立つ本などを回覧し、金融翻訳だけでなく、フリーの実務翻訳者を目指しているすべての聴講者にとって、すぐにでも役立つ情報満載の講演会であった。

報告者:早舩 由紀見(個人翻訳者)


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